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-001号- 20040628 学園改革のために

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【 学園改革を支援する『開窓』 -001-】 2004年6月28日号

私立学校を取り巻く状況は、ますます厳しくなるばかり。
不況と少子化の波を、いかに乗り越えるかの試練です。
現存する学園経営の問題を、どのように克服していけばよいのか。
多くの学校のトップは、運営手法に不安を抱えています。
現場の声でトップを動かし、改革を推進するためのヒント集です。
私学の発展と隆盛を目的として発行しているメールマガジンです。

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はじめまして、学園改革支援の「開窓」です。
学園改革と言っても、経営戦略と問題解決を主体にしたいと思います。
そのための「ヒント」をお探しなら、最後までご一読ください。
しかし「お手軽な」方法論をお探しなら、すぐに購読を解除ください。
その発想で終わっては、とうてい学園改革などできないからです。
改革実現のためには、トップを動かす企画提案力が求められます。
学内一の「提案王」にならなければいけないのです。
それには、色々な条件と制約が必然になってくるのです・・・。

昨今、私学を取り巻く状況は厳しくなる一方ですね。
「釈迦に説法」かも知れませんが、本当に認識は十分でしょうか。
そもそも、あなたはなぜ「学園改革」をしたいと考えたのですか。
あなたの学校に、受験生が集まらない理由がわからないからですか?
それとも、自分の思う通りに学校が動いてくれないからですか?
はたまた、不出来な教員(いろんな意味で)が多いからでしょうか?
その程度のことなら、「改革成功率は低い」と言えるでしょう。

なぜだか、お分かりになりますか?

その理由を突き詰めて考えても分からなければ、
ご自分を改革する必要があるのかもしれません。
それは、あなたの視点が、「教師」という立場で凝固し、
生徒の視点を持ちきれずに留まっている危険があるからです。

なぜなら、学校を改革するには、「生徒」や「受験生」の眼で、
学校を客観的に、大局的に見ることが不可欠だからです。
「そんなことは言われなくても分かっているよ!」
と言いたいでしょうね・・・。皆さん、そうおっしゃいます。

ではうかがいますが・・・、
あなたは本当に生徒たちから、100%の信頼を得ていますか?
あなたの学校は、本当に受験生たちから100%の信頼を得ていますか?
答えは「No」ではありませんか?・・・当然のことです。

教師だって人間です。長所もあれば、短所もあります。
当然のように強みと弱点、得意と不得意とがあるはずです。
学校だって「人」でできた組織です。同じことです。
残念ながら、聖人だけで教員社会が構成されているとは言えませんよね。
だからこそ、このメルマガに関心を持ったのではありませんか?

「学園改革」は、そんな当たり前のことを、
明確に(重要!)意識しなければ実現されないのです。
特に私立学校は、こうしたことを忘れた時点で、
学校としての存在意義を失ってしまいます。

まず、自分自身の眼を疑いましょう。完璧ですか?
そして自分自身を変えましょう。「教師」専門では不十分です。
「教師」としての視点は重要。でもそれだけで改革はできません。
「教育」を標榜し「原則論」だけを言うのでは、改革はできません。

あなたは自分の学校の損益分岐点を知っていますか?
学校のコア・コンピタンスを明確に説明できますか?
そもそも、あなたの学校の目指すものは何ですか?
その実現のために、学校は何を、どのように、実践していますか?
あなた自身、その中でどのような役割を担い、どんな結果を出しましたか?

ぶしつけな質問ばかりして、申し訳ありません。
しかし、これには理由があるのです。
私学は業務の性格上、「教育産業」的側面も持っています。
公立のように税金(公費)で動かせる組織ではありません。
道義的な意義のほかに、経営的なマネジメントも必要なのです。

もちろん、経営第一主義に走っては元も子もありませんが、
経営手法・経営戦略も、現実的には考えなければなりません。
このメルマガでは、学園の本来業務と経営戦略とのバランスを考えながら、
「学園改革」のヒントを提示していきたいと思います。

隔週刊、月曜日の発行を予定しています。共に頑張りましょう!!

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 【発行者】       【 学園改革を支援する『開窓』】
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-002号- 20040705 上司を巻き込め!!

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【 学園改革を支援する『開窓』 -002-】2004年7月5日号

私立学校を取り巻く状況は、ますます厳しくなるばかり。
不況と少子化の波を、いかに乗り越えるかの試練です。
現存する学園経営の問題を、どのように克服していけばよいのか。
多くの学校のトップは、運営手法に不安を抱えています。
現場の声でトップを動かし、改革を推進するためのヒント集です。

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○○上司を巻き込め!!○○

一言で「学園改革」といっても、色々なケースが想定されます。
・・怠惰な教員が多く、一部に負担が集中している。
・・上層部の経営方針に、どうしても納得がいかない。
・・生徒募集に失敗。どのような対策を講じればよいかわからない。
悲痛な叫びが聞こえてきます。以前の私と同じです。ご同情いたします。

こんなケースも考えられますね。
・・業務のシステムそのものに、構造的な欠陥がある。
・・上層部が真剣に学校運営を考えてくれない。
・・「時間がない!」が職員室の合言葉になっている。
ここまで来ると重症です。早急な手当てが必要と言えます。

これらの問題の根本は、いったいどこにあるのでしょうか。
一つ一つの現象をいくら検証してみても、答えは出ないことでしょう。
なぜなら、学校の問題はすべてが「氷山の一角」にすぎないからです。
問題解決の定法として、「根本」そのものを追究すべきなのです。
言葉では簡単ですが、視点の持ち方には難しいものがあります。

最も大切なのは、「学校として、どこをめざすのか」ということ。
経営用語で「コア・コンピタンス」と言われる概念をご存知でしょうか。
学校としての存在意義を示す、中核となる方針、とお考えください。
つまり、他校が追随できない、貴校が提供していく主眼的な価値のことです。
学事や行事、運営の中で、明確に示されていかなければなりません。

当然のことながら、学内の教員によって相違が出ては困ります。
上層部に明確な経営理念がなくても、中核方針は崩壊する危険を有します。
また、現場の末端にまで、そのことが浸透していなくても結果は同じです。
たいていの場合、「問題の根源」は、こうしたところに存在します。
だから気を付けていただきたいことがあるのです。それは・・・。

「学校側で決めてくれよ!」という姿勢は、危険だということです。
そのような方針決定では、必ず現場から造反が生まれるからです。
大切なのは「現場の声を上層部がいかに有効に活かしていくか」ということ。
社会的責任を維持しつつ、新しい学校の価値を全校一丸で模索するのです。
それには現場の意識高揚と、上層部との意思疎通が欠かせません。

でも、トップに媚びを売る必要も、言いなりになる必要もありません。
「生徒のためになる!」とか、「学校のためになる!」とか・・・・・・。
そう思える企画なら、遠慮しないでどんどん上層部にぶつけましょう。
ただし即決を求めてはいけません。上には上の立場がありますからね。
焦らずに、手順をしっかり踏んでいきましょう。筋を通すのです。

絶対やってはいけないのが、上層部を責める(攻める?)こと。
相手も人間。頭ごなしに否定されては、話を聞く余裕がなくなります。
まずは企画書・提案書を見てもらい、共感を得ることから始めます。
正義と道義に外れていなければ、きっと理解してくれることでしょう。
始めの数回は「無茶言うなよ!」と言われるかもしれません。
しかしこれを繰り返すことで、必ずあなたの熱意は伝わります。

もう一つには、評価を求めたり、手柄を立てたりしようと思わないこと。
常に「上層部の方針」としてアウトプットしてもらうようにしましょう。
したがって預けてから数日間は、がまんして様子を見ることが必要です。
また一つには、職場の人間関係を良好に保つということ。
困っている同僚には救いの手を差し伸べ、見返りを望まないことです。
そうすることで、信望が蓄積されていくのですから。

学園改革は学校執行部の手で実行されていかなくてはなりません。
一教員が出すぎた振る舞いをすると、かえって周囲の反発を招きます。
自分の企画や提案や情報を、いかに有効に活用してもらえるか。
それは上層部をいかに巻き込み、相互の供給関係を構築できるかということ。
そして同僚に対しても同様の姿勢を貫き通すことです。
すなわち、職場内相互のギブ・アンド・テイクが成功のカギになるのです。

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-003号- 20040712 ポジショニング

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【 学園改革を支援する『開窓』 -003-】2004年7月12日号

私立学校を取り巻く状況は、ますます厳しくなるばかり。
不況と少子化の波を、いかに乗り越えるかの試練です。
現存する学園経営の問題を、どのように克服していけばよいのか。
多くの学校のトップは、運営手法に不安を抱えています。
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○○「ポジショニング」○○

こんにちは、皆様ご多忙な中、ご購読ありがとうございます。
先日、あるセミナー(コンサルタント系)に参加しました。
周りには有名私立中学・高校の理事長や学園長がたくさん・・・。
最後のプログラムである、質疑応答を楽しみに待っておりました。
ところが!!「いまさら何を・・・」という質問ばかり。
正直な感想として、ずいぶん楽な仕事をしているな、と思いました。

率直な感想を申し上げます。それは・・・。
「そんな程度の真剣さで、学校運営が勤まるのか?」ということ。
とうてい学園経営のプロとは思えない質問ばかりでしたから。
おそらく一部の企画担当者か、コンサルタントに丸投げしているのでしょう。
プロ・ベテランの声に期待していたのに、損をした気持ちになりました。

しかし明白な現実として、私の学校は彼らの学校に募集で負けています。
中堅の私が見て「やる気ない・・・」と思えるトップのいる学校に、です。
これには大変なショックを覚えました。悔しさも感じました。
逆に「あれに比べりゃウチのトップは、まだまだいける」とも思いました。
なぜなら、出された提案や企画を、真正面から受けてくれるからです。
そして、研究し、実行してくれるようになってきたからでもあります。

春休み、私は理事会と執行部に宿題(16枚の経営課題)を出しました。
完璧ではありませんが、およそ2ヶ月後に埋め尽くして回答がありました。
微細な点で不安は残りますが、ほぼ期待した内容が返ってきました。
そのうち最も良かったのは、本校のポジショニングについての回答です。
それは・・・「本校はいずれにも属していない。」との回答でした。

さて、「いずれにも」とはどのような項目なのか。気になりますか?
質問はシンプルです。「本校のポジションは次のうちのどれか」ということ。
私は4つの項目を立てておいたのです。いわば「市場での位置づけ」です。
「リーダー・チャレンジャー・ニッチャー・フォロワー」の4つです。

1.リーダー
私学界を牽引している、シェアがトップレベルの学校群です。
一流大学の付属校などが、このカテゴリーに属します。
「豊富な財力と人材」を誇るのが特徴です。

2.チャレンジャー
「リーダーに取って代わる」ことを狙える立場の学校群です。
いわゆる中堅大学の付属校に多い学校群とも言えます。
財力で価値をアピールできる、恵まれた存在でもあります。
ファシリティの充実が、学園にとって最大の強みです。

3.ニッチャー
価値設計において「すき間産業」的な存在の学校です。
商業・工業、その他、専門的な布陣を持つ学校群です。
派手な需要はありませんが、根強いファンが生まれやすい。
本来、財力のない学校がめざすべき方向でもあります。

4.フォロワー
市場追随型の学校です。
良く言えば「奇を衒わない」。また「安定型」とも言えます。
悪く言えば「ありきたりでチャレンジ精神に乏しい」学校です。
世間の一般的な学校は、ほとんどこのカテゴリーに属します。

私が出したのは「この4項目のうち本校はどれか」という設問です。
自分たちの学校が社会的・市場的に、どの位置にあるのか・・・。
このことが把握されていないと、経営戦略上の間違いを引き起こします。
学園に対する市場評価は、存在価値を測る重要な指標です。

教師は職業柄、とかく「理想の発信」に偏りがちです。
「現実受信」の気持ちを忘れないよう、気を付けたいものですね。
顧客である受験生と保護者にとって「学校の価値」とは何か、が重要です。
なにしろ、「価値組」こそが「勝ち組」なのですから・・・。
学園に対する市場の評価を、真摯に受け入れる姿勢が大切ですね。

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-004号- 20040719 「日常化」の恐ろしさ

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【 学園改革を支援する『開窓』 -004-】2004年7月19日号

私立学校を取り巻く状況は、ますます厳しくなるばかり。
不況と少子化の波を、いかに乗り越えるかの試練です。
現存する学園経営の問題を、どのように克服していけばよいのか。
多くの学校のトップは、運営手法に不安を抱えています。
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○○「日常化」の恐ろしさ○○

「教師も、一度クラスを卒業させれば一人前だよ・・・。」
そんな言葉をよく聞きますが、はたしてそう言い切れるのでしょうか?

なるほど担任業務が一回りして卒業させれば、一通りの知識は身につきます。
基幹業務に関しては、おそらく特別な心配は要らなくなることでしょう。
しかし教師の仕事には「定型化」できるものと、できないものがありますね。
それを忘れて(?)、一度卒業させるとプロの顔になるのが教師・・・。
昨日までの不安げな顔は、一体なんだったのかと思う時もあります。

どんな仕事でも、ルールや法則では割り切れない要素が発生します。
まして教師の仕事は、「生身の人間」である生徒が対象です。
いついかなる時でも、突発的な事件・事故に備える姿勢が求められます。
中には、想像だにしなかった事案も起こり得るのです。

読者の皆さんは、教育実習時の、あの緊張感を覚えていらっしゃいますか?
「何が起こるかわからない不安」を常に意識していたはずです。
緊張度の違いは、ご自分のご記憶をたどれば、ご理解いただけると思います。
「場慣れ」の結果、意識「離れ」になってしまっては残念すぎますよね。

一度卒業させたクラスの管理手法は、自分の中でプロトタイプになります。
記憶の中で、「クラス管理のスタンダード」と位置付けられてしまうのです。
誰でも、基幹業務に慣れ、仕事が定型化してくると、用心深さを失います。
ここまで読むと、業務がパターン化していることに気づかれることでしょう。

「スタンダード」として定義されたものは、容易に意識を去りません。
しかし現実には、その枠を超える事態がしばしば発生しがちです。
経験不十分な若い教師は、その「スタンダード」に解答を求めてしまいます。
そうです・・・。ここから取り返しのつかない失敗を引き起こすんですね。

先に述べたように、相手は「生身の人間」なのです。
定型化されたドリル式の解答など、役に立たない場合が多いのです。
必要なのは、その生徒の立場になりきって考えることができるかどうか。
生徒の不満を抑えようとすればするほど、教師の「理論」は空転を始めます。
規範にこだわる前に、その生徒の感情の動きを察してあげましょう。

どんなに口ごたえをしていても、こうは思っていないはずではありませんか?
「うるさいな。(秩序を破って)なんでも好き勝手にやらせてよ・・・。」
彼らだって人間ですから、当然わがままな面を持っています。
しかし常識を超えた悪行に走るくらいなら、学校には来ないのでは?

定型の中に解答(解決策)を求めようとすれば、生徒はそれを見抜きます。
もちろん、理論的に、ではなく感覚的に察知するのです。
一度卒業させたクラスへの対応幅が、いつでも通用するはずはありません。
新しいパターンの「想定外反応」が出てくることを予見しておきましょう。

生徒指導に限ったことではありません。校務だって同じことです。
パターン化された仕事ほど、我々は用心を深めなければなりません。
なぜなら「仕事をこなす」ことに目的がシフトしやすい危険があるからです。
そんな仕事で済むのなら、「学校」も「先生」も不要になってしまいます。

我々教師は「教育テレビ」や「授業ビデオ」ではありません。
パターンにはまる人は、教師としての適性を認めてもらえないのです。
いつでも生徒の立場や不安を代弁できるようにしておきたいものですね。
これは民間企業の経営理論で一般的な、「CS」という概念に似ていますね。
次回はこの「CS」について、解説したいと思います。



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-005号- 20040726 「CS」は学校でも有効

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【 学園改革を支援する『開窓』 -005-】2004年7月26日号

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○○「CS」は学校でも有効○○

商業や情報の先生なら、よくご存知のことと思います。
企業で一般化している「CS」が今回のテーマです。

「CS」は「Customer Satisfaction」の略称です。
そうですね・・・。日本語で言うと「顧客満足」という感じでしょうか。
お客様の立場になりきって、自社のことを評価する目を持つこと。
「提供」以前に「受容・共感」がある、と考えることです。

この「CS」、私立学校も同じだとは思いませんか?
生徒や保護者の要望・不安を把握した上で、学事を充実させる。
もちろんその内容は様々ですが、把握しているかいないかで大違い。

「本校の方針が理解できないなら退学を」という私学もあります。
理屈はわかりますが、学校は「ロボット」工場ではありません。
「部活ロボット」や「受験ロボット」を作るのが目的で建学されたのか?
これを考えれば、話し合いもせずに使う言葉とは思えませんよね。

学校は「人間力の形成」を主眼とする、社会的権威でなくてはなりません。
学園の都合だけを優先して、生徒の人格を無視することがあるとしたら?
到底、教育者・教育機関としての資質を有するとは思えませんよね。

本来、生徒募集の段階から、一人一人と真剣に向き合うことが大切です。
もちろん入学金や授業料を目的とした「人数集め」が主眼ではありません。
収益を上げることにハマって、学園の信頼を失うわけにはいきませんから。

その子の「人生設計」のために、どのような材料を提供できるのか・・・。
本当に入学させたほうがその子のためになるのか・・・。
(私学各校には、それぞれ「建学の精神」と独自性があるため)
明らかに学園の方針・スタイルに合わない受験生も、現実にいるはず。
その場合、お断りしたほうが、その子の将来にとってプラスではないか?
私はいつも、そんなことを考えながら生徒募集に奔走しています。

それこそが生徒・保護者・訪問先の学校から信頼を得る、唯一の道なのです。
私学は、社会からの信頼を得られなければ、衰退する運命にあります。
また、社会の要請に応じる人材を育成することが、建学の本義のはずです。
教員が、一人の人間として、真剣に生徒と向き合うことが大切なのです。
一人入学させればいくらの収入、といった低劣な発想では立ち行きません。

「学校」の存立基盤は「信頼」です。(「言いなり」とは違います)
「親身」という言葉がありますね。文字通りに考えてみましょう。
親の立場で、子供のことを考える、ということでしょう。
まだ社会的判断力の乏しい少年たちのことを、保護者の目で見守るのです。
時には主義主張を曲げてでも、子供たちの将来を優先すべきなのです。
そうすることで信頼度が高まり、ひいては学園の評価を高めていくのです。

しかし難しい問題と表裏一体なのが、私立学校の現実です。
実際に、経営基盤の弱体化は避けなければならない立場です。
また、方針から著しく脱線した生徒は、卒業させられないこともあります。
「独自性」を主眼とした教育機関だからこその「ジレンマ」でもあります。
第002号で触れた「コア・コンピタンス」とのバランスも考慮すべきですし。
こうした二律背反をいかにバランスさせるのか・・・。難しい問題です。

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-号外- 20040804 マニュアル人間

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本日は私の息子の6歳の誕生日。
来年は小学生です。小学校選びも意外と大変なものですね。
近所の公立小学校が信頼できそうにないので、困っています。
そんなこととは関係なく、今回は特別版の号外です。


○○マニュアル人間○○

近頃の若者には「自主性」が乏しいのだそうです。
なるほど、生徒たちを見ていても、そんな不安が生まれます。
考える前から「これ、どうやるの?」と質問してくる生徒が増えました。
勉強のことだけではありません。生活のすべてにおいてなのです。
そんな生徒たちを見て、若い教員も「自分で考えろよ!」と返します。

しかし、そんな光景を見るたびに、私は苦笑してしまいます。
なぜなら「君は人のこと言えないよ・・・」と感じてしまうからなのです。
子供たちはまだ発展途上。「自主性」が未発達でも、あきらめがつきます。
ところが一教員となると、そういうわけには行きません。
仮そめにも学級を預かる担任たる者は「運営」を任務とするからです。

私の後輩にも、自信過剰な若い教員が数名います。
一流大学を出て、将来を嘱望される立場の若者たちです。
彼らは型にはまった教育を表面的には嫌い、すばらしい教育論を披瀝します。
でも、そういう彼らに共通する欠点があるのです。
それは業務に向かう時、「マニュアル」を欲しがるということ。
いや、それどころか、生徒を型にはめている自分に気づいていない。

論理ばかりがご立派で、実践力のない教員が増えているのでしょうか・・・。
業務のマニュアルを欲しがるのは、職責を把握していないということ。
生徒のために、次は何が必要になるのか。どのような対応が良いのか。
そうした視点を持っていれば、業務上の脱線はありえません。
しかし彼らの心配は、書類のミスや実務上のミスばかり。

彼らに必要なのは、マニュアルではなく、「規約」です。
その内容は1行でこと足ります。「生徒に迷惑をかけないこと」。
生徒の視点に立ち、その気持ちを考慮しつつ対応するだけなのです。
そのことがわかっていれば、マニュアルの非力さにも気づくはずです。
学校には「型どおり」の業務など、存在しないのですから。

生徒の「自主性」の未発達は、許されてしかるべきでしょう。
しかし、教員の「主体性」のなさは、致命的な学事崩壊を招きます。
マニュアル世代とでも言うのでしょうか。彼らへの不安を禁じ得ません。
型どおりに準備された道をたどり、型どおりの解答者を演じて来た。
そんな少年時代を過ごした教員が増えているのでしょう。
「エリート」が持つ、唯一最大の欠点であり、弱点でもあります。

どうしてもマニュアルを作成したいなら、「○○業務規約」をお勧めします。
基本的な書類の作成と、生活指導上の規約のみに絞るのです。
統一性を要求される書類と業務に限ってしまえば良いのです。

生徒に「自分で考えろよ」と言いながら、自分でマニュアルを望む。
これほど矛盾したことがあるでしょうか。
定型業務については、日常の業務に真剣に対応すれば身に付くものです。
職場統一のために、「規約」はある程度必要かもしれません。
しかし、マニュアルを求めるのは姑息短絡的な発想です。
「失敗しなくて済む方法」を欲しがっているだけでしょうから。

生徒と向き合う時、失敗を恐れてチャンスを逃すことはありませんか?
教員は大げさな言い方をすれば、学校が売る、一つの「商品」です。
その教員個人が持つ独自性を、遺憾なく発揮して欲しいものですね。

以前も書きましたが、生徒は生身の人間です。
型にはまった指導法など、無益以外の何物でもありません。
いや、むしろ「有害」だと断じざるを得ない場面の方が多いことでしょう。
生徒の人生をマネジメントするのが本来業務だという立場に立つ時、
学校には究極のCS(Customer Satisfaction)が要求されるのです。

これが企業ならば、顧客の方から離れていけば済むことですが、
私学の生徒は現実の問題として、転校することができません。
つまり私学では「顧客=弱者」という構図が存在するのです。
その矛盾に気が付く学校と気が付かない学校とでは、信頼度に差が出ます。
皆様には「型」を脱却して、真のCSを実践して欲しいと願っております。



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-006号- 20040809 「3段階の意識」

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【 学園改革を支援する『開窓』 -006-】2004年8月9日号

私立学校を取り巻く状況は、ますます厳しくなるばかり。
不況と少子化の波を、いかに乗り越えるかの試練です。
現存する学園経営の問題を、どのように克服していけばよいのか。
多くの学校のトップは、運営手法に不安を抱えています。
現場の声でトップを動かし、改革を推進するためのヒント集です。

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学園を変革する現場教員として、要求されるのはマネジメント能力。
校務上は「ヒラ」でも、学園改革では求心力になる必要があります。
しかし、視点の持ち方や解決手順が明確に整理できない人もいるはず。
鳥瞰的視点を持つには3段階の「意識」が重要です。整理してみましょう。


1.「危機意識」

よほど鈍い人でない限り、持っているのが「危機意識」。
学園の現状に不安を感じていれば、それだけで「危機意識」と言えます。
はじめに学園の、ある予想外な現実(マイナス結果)に驚く。
しかしその現実の発端となった理由がよくわからない。
理由がよくわからないので、決定的な対応策が頭に浮かばない。
対応できないまま放置せざるを得ないことに恐怖を感じる。
こうして形成されるのが「危機意識」です。
いわばこれは、「意識」と言うより「気づき」の段階と言えるでしょう。
「まずいな」「やばいな」「不安だな」というレベルの感覚です。
単純なものですが、これが改革への動機付けとなっていくのです。


2.「問題意識」

次の段階は、「何が危機の元凶なのか」を追究する意識です。
つまり、危機的状況を冷静に把握し、構造化し、整理していく段階。
ここからが本来の意味での、目標性を有する「意識」と呼べるものです。
この段階では、危機をカテゴリーに分ける作業を進めていきます。
次にカテゴリー毎の問題点(元凶)をピックアップします。
この段階までは、ほとんどの現場教員が到達していると考えられます。
しかし、ここで思考が停止してしまう教員が多いのも事実です。
居酒屋で職場をネタに不平不満を並べ立てているタイプですね。
「組織」という視点が不十分なために、個人レベルで思考が終始するのです。
さらにもう一段高い視点と意識が必要になってきます。


3.「当事者意識」

個人の立場と組織の活動意義とをバランスさせようとする意識です。
「個人」と「組織」との関連性に気づくことで、初めて形成されます。
前向きに人を動かす立場になると、否応なく要求される意識です。
したがって、この意識を持つ人は中堅以上の役職者に多いようです。
ただし年齢的に、旧来の手法によって対応しようとする傾向があります。
「前例」に縛られ、柔軟な対応が実現しない例が多く見受けられるのです。
「組織の変化に追随できないのではないか」という不安もあるのでしょう。
しかし、組織活動の停滞点を直視し、人的資源上の問題は解決すべきです。
場合によっては、自分自身がその元凶になっているかもしれません。
個々の問題に対して、今、自分ができることは何か、という視点が必要です。
「目の前の問題に、当事者として関わっていくこと」に他ならないのです。


こうした3段階の意識を経て、初めて冷静に問題を解決できるのです。
「危機意識」にとどまれば、「単なる不安」の域を脱しません。
「問題意識」にとどまれば、「不平不満」で終わる可能性が高いのです。
「当事者意識」まで到達しなければ、組織構造的な解決策は得られません。
ただし、それを目標にしてはいけません。あくまで改革の前提条件です。
「当事者意識」を持つことから、改革をスタートさせていくのです。
あらゆる問題について仮説を立て、これを検証し、提案していきましょう。
上層部と突合せをして、「組織」として実行しなければ無意味ですから。



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-007号- 20040823 「前向きな会議にしたい」

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【 学園改革を支援する『開窓』 -007-】2004年8月23日号

私立学校を取り巻く状況は、ますます厳しくなるばかり。
不況と少子化の波を、いかに乗り越えるかの試練です。
現存する学園経営の問題を、どのように克服していけばよいのか。
多くの学校のトップは、運営手法に不安を抱えています。
現場の声でトップを動かし、改革を推進するためのヒント集です。

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○○前向きな「会議」にしたい・・・・○○

気の早い話ですが、次回から「マネジメント」シリーズに致します。
しばらくの間、マネジメントを中心にお話を進めて行きたいと思います。
学園改革に応用できるような考え方を提供していくつもりです。
その前に、今回は「会議」に関するお話です・・・・。

教員の一部は、とかく「一国一城の主」になりたがるようです。
あらゆる職種の中でも、謙虚さの乏しい人が比較的多い業界です。
クラス・部活動の中では、すぐに「お殿様・お姫様」になってしまう。
そのくせ職員会議では「平等性」にこだわり、形だけの民主主義を標榜。
この手の人物は、組織の「厄介者」に成長する危険性を持っています。

ありがちなのは、教師の「権威」と「脅威」との履き違え。
まるで軍事教練のような「教育(?)」を生徒に押し付けてしまいがち。
大昔の体育会系的な発想で、上意下達だけを手法としている人たちです。
簡単に表現すると、「ガキ大将」という言葉が適当でしょうか。
生徒の声に耳を傾けず、自分の都合だけで何もかも押し付けてしまう。
綺麗事ばかりで体裁を重視し、形式さえ完成すれば気が済んでしまう。

そういう人ほど、職員会議で上司にたてつくことを矛盾とは思いません。
横で見ていると、その矛盾(どこが上意下達?)に苦笑せざるを得ません。
重箱の隅をつつくような、枝葉末節にこだわる姿勢も特徴です。
「学園」を鳥瞰的に見る目を持っていないので、発言内容も自己中心的です。
「上に対して何でも意見を出さなければダメだ」という言い訳が空虚ですね。

意見をするということと、たてつくこととは違います。
一言居士ですむならともかく、こういう人たちはしゃべり続けるんですよね。
建設的な意見を集約するのが会議の目的なのですが、当然、ぶち壊しです。
存在感の誇示が目的になっていることを、詭弁のもとに本人が忘れてしまう。
本人は「良識の覇者」になったような優越感に浸ってしまいます。
だから多くの人の貴重な時間を奪って、なんら恥じることがないのです。
存在を誇示したいのならば、仕事で周囲を納得させればいいのに・・・。
この手の教員には2種類のタイプがあります。

1.エリート意識が強く、わがままな「ガキ」のまま大人になってしまった。

2.劣等感が強く、周囲の人間に「負ける」ことを不必要に警戒している。

どちらのタイプも社会性が著しく欠如しており、表面的な社交性が特徴。
狭い世界で職務が完結しており、高い視点と広い視野とを持っていません。
また、ひがみや依頼心の強さも共通する要素と言えるでしょう。

どの学校にも、こうした教員が、必ず数名は跋扈しているはずです。
「学園改革」に時間がかかる理由は、こうしたところにもありますね。
特殊な業務構造であるために、特殊な人間(厄介者)が安住できる。
そういう人たちの相手をしていると、ムダな手順と時間がかかります。
職員会議で教員全員のコンセンサスを取らなければならなくなる。
どこの世界に、社員全員で会議をする企業があるでしょうか・・・・。

確かに「企業と学校は違うんだよ」という意見は間違ってはいません。
しかし、各部署の代表者会議という形式で済ませられる内容が多いもの。
周知徹底はその部署のリーダーが責任を持てば良いではありませんか。
「自分の責任になるのはいやだ」という考えを捨てるだけのことでしょう?
変革を恐れる体質の根本は、ここ(責任の所在)にもあるのでは?

どうしても「全体会議」をやるならば、次の事柄を徹底しましょう。
 ▽ 会議の目的が「建設的な意見の集約」にあることを知らしめる
 ▽ 提案・代案なき反対意見は、無条件に却下する
 ▽ 組織の進むべき方向を、鳥瞰的に捉えさせる工夫をする
 ▽ 原則として「動議」は禁止。あらかじめ「提案書」を出させる
 ▽ 重大な議案については、事前にアンケートなどで意見を集約しておく
こうしたことを実践するだけで、会議は前向きなものに変化するはずです。

「ガキ大将」の邪魔だてを抑制する手法も考えておきましょう。
本当は厳格な上司が「くだらないことを言うな!」と一喝するのが一番。
なにしろ「ガキ大将」は、怖い大人が苦手ですからね。
それがダメなら、理論的に追い込むこと。そして責任を持たせること。
「厄介者」対策については「プレジデント」誌に参考記事があります。

http://www.president.co.jp/pre/20000904/02.html
○優等生が多い一流企業ほど「厄介者」対策が下手○

身につまされる学校も多いような気がするのですが・・・・・・。
皆さんの学校では、いかがでしょうか。



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-008号- 20040906 「マネジメント」ってなんだろう?

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【 学園改革を支援する『開窓』 -008-】2004年9月6日号

私立学校を取り巻く状況は、ますます厳しくなるばかり。
不況と少子化の波を、いかに乗り越えるかの試練です。
現存する学園経営の問題を、どのように克服していけばよいのか。
多くの学校のトップは、運営手法に不安を抱えています。
現場の声でトップを動かし、改革を推進するためのヒント集です。

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○○「マネジメント」ってなんだろう?○○

新学期が始まりましたね。夏バテしてはいらっしゃいませんか?
無理せず、着実に学校を変えて行きましょう。

今回からしばらくは「マネジメント」についてお話ししたいと思います。
一言で「マネジメント」と言っても、内容はさまざまです。
業態・規模・要員・要因・手法・施設などなど、組み合わせは無限ですから。
一つの問題解決に対しても複数のマネジメント方法があり得るのです。

一般に、発生問題を解決する特別な手法を「マネジメント」と考えがちです。
しかし、日常業務を推進するためにも「マネジメント」は必要になります。
「失敗しないための慎重な考え方」が基本的な意味合いとなるでしょうか。
英和辞典で調べると「経営・管理」といった解説が載っていると思います。
資産である『ヒト・モノ・カネ・トキ』を運用することを指しているのです。
「マネジメント」は、決して特別な手法でも、もちろん魔法でもないのです。

「マネジメント」が難しいのは、「ヒト」の運用が絡むからです。
組織のメンバーが、一人残らず前向きで高い能力を有することはありません。
人間関係の機微を踏まえておかないと、内部崩壊することも考えられます。
また「トキ」の運用についても、日常業務との並行で負担が増えるはずです。
「マネジメント」自体が負担になり頓挫したのでは、笑い話ですね。

「マネジメント」には、「マネジメントを管理する」視点も必要になります。
もちろんマネジメント推進者ではなく、上司がこれを実行します。
したがって上層部との連絡を密にしないと、暴走の危険性もあるのです。
推進者(以後「マネージャー」)はあくまでも「ミドル」の立場です。

さて、こうしたことを踏まえ、「マネジメント」の必要条件を考えましょう。
最も重要なことは『雰囲気や気分に流されてはいけない』ということです。
冷静かつ客観的に問題を把握し、的確に資源を配分して対応することが肝要。
「当たり前じゃないか!」なんて言わないでくださいね。
その当たり前が実現していないから、改革が必要になっているはずです。
わかっていながら実現しない。それが経営・運営の難しいところです。

前置きが長くなりました。そろそろ本題に入っていきましょう。
マネジメントの失敗で目立つのは、「問題設定を誤る」ケースです。
問題設定を誤ることは、スタートとゴールを間違えていることを意味します。
どんなに優秀なマネージャーでも、その段階を誤れば仕事はできません。
この誤謬の排除には、エンカウンターでのブレインストーミングが有効です。

エンカウンター形式をお勧めする理由は、「話題負け」を防ぐためです。
グループで会話すると話題が固着してしまい、皆がそれに乗ってしまいます。
別の話題が出にくくなるのです。話が深化するばかりで視野が広がらない。
だから複数のグループを構成して、複数の話題が出やすい状況にするのです。
複数の話題について、それぞれを深化させた話し合いが可能になります。
マネージャーが気付いていない問題も提示されることが多いはずです。

難しいのは出てきた問題をどう整理すればよいのか、ということですね。
冷静かつ客観的な視点が取れるかどうかで、結果を分けることになります。
ここはマネージャーの的確な処理能力が問われる場面です。
「問題」は複数のものが重層的に提示されることでしょう。ここが重要です。

複数の問題をよく精査してみると、根源を同じくする問題が見えてきます。
「A・B・Cの問題は、Dが不徹底だから発生しているね」という具合です。
つまり、提示された問題は、「ツリー構造」で整理が可能だということです。
この例の場合「Dの問題」を解決すれば「ABCの問題」は自然解消します。

「問題」とは、『あるべき目標』と『ダメな現状』とのギャップのことです。
そのギャップを埋めるために、どの資源をどう使えばよいのか、と考えます。
一段階で処理できない場合、複数の段階処理を経て目標達成を目指します。
「問題ツリー」を正確に作成できなければ、ギャップは見えて来ないのです。
派生的な問題に関わっていくことは、時間の無駄遣いでしかありません。

当然、単一のマネジメントで処理できなければ、別ラインも必要です。
一度に多くの問題処理を抱えては、マネジメントが紆余曲折してしまいます。
分割が可能ならば別のマネージャーを立てて、ラインを分けた方が有効です。
時間の短縮、チーム負担の軽減、マネージャーの全体把握を優先すべきです。

まず初めに「的確な問題把握」と「的確なライン作り」を意識してください。
次回からはマネジメントの実際における、思考法と処理方法に話を移します。
これから気候が大きく変わります。健康にはくれぐれもお気をつけ下さい。



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-009号- 20040920 「マネジメント」〜QCDとPDCA

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【 学園改革を支援する『開窓』 -009-】2004年9月20日号

私立学校を取り巻く状況は、ますます厳しくなるばかり。
不況と少子化の波を、いかに乗り越えるかの試練です。
現存する学園経営の問題を、どのように克服していけばよいのか。
多くの学校のトップは、運営手法に不安を抱えています。
現場の声でトップを動かし、改革を推進するためのヒント集です。

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○○ マネジメント〜QCDとPDCA ○○

台風の押し売りもようやく過ぎ、日ごとに秋の気配が強くなりましたね。
文化祭・運動会の準備に、読者の皆さんも奔走なさっていることと思います。
毎年のことながら、こうしたプロジェクトの管理には神経を使いますね。

さて、今回はマネジメント・シリーズの第2回です。
前回は「マネジメントってなんだろう」ということでお届けしました。
マネジメントは決して特別な手法ではなく、日常の管理そのものを指します。
管理対象は平常業務であったり、プロジェクトであったり、さまざまです。
建物管理や募集業務、クラス・部活動もマネジメントが必要となります。
部長職以上の方なら、人材(教員)管理も視野に入ってくることでしょう。

前回のメルマガでは、特に「問題」設定が重要だとお伝えしました。
「学園のあるべき姿」と「現状」とのギャップをいかに埋めるか。
そのために何を、誰の手で、いつまでに、どのように動かせばよいのか。
この時点で設定を誤るとゴールが見えず、スタートもずれてしまいます。

マネジメントは目先の業務を「無難に大過なく進める」ことではありません。
めざすべきゴール(学園のあるべき姿)が最初にあるのです。
従って、管理手法や遂行手段の構築が最終目的ではありません。
限られた資産を有効に使い、「あるべき姿」を実現するのが目的です。
当然、一定の指針に基づき「業務管理表」のようなものが必要になります。

1.目標地点(あるべき姿)を明確化する。
2.スタート地点(切り口)を明確化する。
3.通過すべき道筋(手法・手段・材料)を明確化する。
4.常に進捗を管理し、矛盾点は即時対応的に修正する。
この過程を表にして管理すると、かなりの「ムダ」を排除できます。

ただし、マネジメントには障害とアクシデントがつきものです。
マネジメントに対するリスク・マネジメントも想定しなければなりません。
ある項目を重視すると、他の項目で要件が満たされなくなる。
そのような状態に陥った時は、マネジメントが機能していないと言えます。
こうした危険を極力排除するために、特別な視点があると便利ですね。
本日は、そんな視点を2つ、皆さんにご紹介したいと思います。


製造業の現場では当たり前になっているものに「QCD管理」があります。
3つの視座から、マネジメントを鳥瞰的に管理する考え方です。
Q:Quality  一般に「品質」「濃密度」を指します。
C:C o s t  文字通り「コスト」。「対価性」のことです。
D:Delivery  一般に「納期」「期限」のことを言います。
この3点を同じ傾注度で管理し、一つでも欠損すれば「失敗」とするのです。
実動人員の管理を含めれば、「ヒト・モノ・カネ・トキ」の管理が完成です。

気をつけていただきたいのは以下の事柄です。
「Q」 形式を重視するのか、密度(性能)を重視するのか、姿勢を明確に。
    過不足のないよう、「どこまでやるか」を考えます。
「C」 ただ「投資対効果」だけを考えるのでは浅すぎます。
    「保護者の負担」を絶対に忘れないでください(CSは基本!)。
「D」 期限を守れそうにない仕事は、数人に振り分けるか、カットします。
    一部署が期限を破れば、他のいくつもの部署が混乱します。
なお、QCDが相互に干渉しないよう留意するのは、言うまでもありません。


それでは、2番目の視点をご紹介します。
ご存じの方も多いと思います。「PDCAサイクル」です。
ある業務を円滑に、見落としなく、着実にこなすことを目的としています。

P:Plan  「計画」の策定段階を指します。
D:Do   「実行」の段階です。
C:Check  「検証」または「統制」を指しています。
A:Action 「改善」および「修正」行動の段階です。
これはサイクル化されており、P→D→C→A→P→D・・・・・・となります。
このサイクルの便利なところは、大プロジェクトから日常業務管理まで、
また、個人レベルの業務の評価にも、極めて容易に導入できる点です。

一般に学校は、PDに強いのにCAが苦手という性質を持っています。
計画を立てたらあとは実行するだけ・・・・。そうなってはいませんか?
CとAの視点を持ち、恒常化しておけば、ムダを排除することができます。
実行段階(D)で生じた、教員間のベクトルのズレも排除できるのです。
ただし、CAの2段階では、トップダウンのマネジメントが不可欠です。


1番目のQCD管理は学事の「質」、2番目のPDCA管理は「進め方」。
QCD管理とPDCA管理を、現状に合わせて融合させてください。
ほとんどの業務において、ムダを排除し、停滞を防ぐことができるはずです。
はじめのうちは軌道に乗せるのに手が掛かるかもしれません。
しかし、我慢して3ヶ月続けてみてください。現場に浸透し始めます。
マネージャーとトップとの連係プレイで、状況は必ず変わります。


次回は、さらにマネジメントの知識を深めていきます。
しばらくは管理ツールの紹介が続きますが、お許しください。
現場への落とし込みをしていくためにも、必要なツールばかりですので・・・・。
それではまた、2週間後にお目にかかります。
お体に気をつけてお過ごしください。ご購読ありがとうございました。

※寄稿やメルマガの相互紹介をしてくださる方はいらっしゃいませんか?
※ご意見やご感想など、心よりお待ちいたしております。



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-010号- 20041004 「Q」管理と品質マネジメント

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○○「Q」管理と品質マネジメント○○

相変わらず台風の猛威には恐怖をぬぐえませんね。
犠牲になった多くの方々のご冥福をお祈りしたいと思います。
先日、読売新聞に学生の意見文が出ていましたね。
「台風で休校になればうれしい、と思った自分が恥ずかしい」と。
まだ日本の子供たちには、こんな温かい気持ちが残っています。
こういう優しさ、温かさを大切に育ててあげたいものですね。

さて、前回のメルマガでは「QCD」と「PDCA」を学習しました。
バックナンバーはホームページをご覧ください。
http://kaisou.gozaru.jp/
さっそく皆さん、日常業務に取り入れて下さったことと思います。
念のため、もう一度だけおさらいしておきましょう。
 「QCD」  Q〜品質  C〜コスト  D〜納期
 「PDCA」 P〜計画  D〜実行  C〜検証  A〜改善

組み合わせのために、横3列・縦4行の表を作成してください。
横軸にQCD目標を記入し、縦軸にはPDCAを記入していきます。
こうすれば簡単にチェックシートを作ることができます。
PDCAの各段階において、QCDのバランスが保たれているかどうか。
一目瞭然ですよね。とても便利ですので、ぜひ一度お試しください。

ところで、学校として特に重視すべきはQCDの「Q」ですよね。
学事の「質」を、明確な理念によって創造・維持し続けなければなりません。
場合によっては「C」「D」を犠牲にするくらいの覚悟が必要です。
(ただし、よほどの重大案件に限られるものとお考えください)
一般企業では「D」管理を何よりも重視します。信用に関わるからです。
学校では「Q」管理が信頼性を左右する最大の条件となることでしょう。
したがって、この「Q」管理には学校全体としての取り組みが必要です。

残念なことに学校に対する評価は、教員の資質の差が大きく影響します。
たとえば「担任不信」「顧問不信」などといった状態です。
こうした理由が基で退学にまで発展するケースは、珍しくないと思います。
端的に言えば、現場における学事品質の低下が、顧客離れを呼び込むのです。
そうして退学した生徒や保護者からの口コミ情報は、必ず伝播します。
しかし、製品製造の現場と違い、我々の職務は生身の生徒が対象です。
教員の業務を客観的に評価(検証)するのは、上層部にも困難なものです。
製品工場の品質管理のようなわけには行きませんね。


学校へのクレームは、たいてい上層部か部長などの管理者が受けます。
当の教員は「私は定められた通りに業務を行っただけだ」の一点張り。
改善策を検討しようにも、当人が「人ごと」では、むなしすぎます。
この現象は、品質管理のあいまいさが「学校」に存在するために発生します。
また、教員の個性を尊重すべく、一定の権限を持たせることにも起因します。
「担任」「顧問」という立場は、一歩間違えると「お殿様」になりがちです。
それならまだしも「裸の王様」になってしまっては、目も当てられません。

品質管理の良否は、「品質管理段階」で決まるものではありません。
言い換えれば、「C=検証」によって実現するのではない、ということです。
あくまでも品質責任は「D=実行」段階の、現場の教員の責任です。
そうです。「権限」は、責任を伴って、初めて「権限」と呼べるのです。
責任を伴わないものは「権限」ではなく、ただの「独りよがり」です。

そのような過ちを犯さないためには、現場教員の共通理念が必要です。
学年協調・教科内同意・部署連携・顧問会議など。理念を共有しましょう。
学校として目指すべき方向性を、明確に共有しておくことが大切です。
各教員の個性を阻害しない程度で、上層部に一定の概念を提示させるのです。
もちろん建学の精神と経営理念を根本に据えて考えてもらいましょう。

問題のチェック体制ですが、上層部による評価管理は困難だと思います。
理想的なのは、現場の教員の結集力によって管理させることでしょう。
指針は上層部から出させ、検証は現場教員の合議で推進する。
こうすることで、「管理は上の仕事だ」という甘えを断ち切るのです。
メルマガ第006号をご覧ください。「当事者意識」について触れています。
自身が学校の信頼を左右する当事者なのだ、と全教員に自覚させましょう。

学事品質マネジメントについては、ISOが参考になります。
「学校には関係ないじゃないか」なんて仰らないで下さい。
きっと多くの「気付き」を得ることができると思います。
とは言っても、内容をご存じない方のほうが多いことでしょう。
次回はISOにおける「品質マネジメント」を参考にお話しします。

今回もご購読いただき、誠にありがとうございました。
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【 学園改革を支援する『開窓』 -011-】2004年10月18日号

私立学校を取り巻く状況は、ますます厳しくなるばかり。
不況と少子化の波を、いかに乗り越えるかの試練です。
現存する学園経営の問題を、どのように克服していけばよいのか。
多くの学校のトップは、運営手法に不安を抱えています。
現場の声でトップを動かし、改革を推進するためのヒント集です。

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○○ ISOをご存じですか? ○○

おはようございます。いつもご購読ありがとうございます。
運動会や学園祭の準備に、大忙しのことと思います。
天候不順な日が続き、少々ウンザリしますね。
せめて行事の日だけは好天を願いたいものです。

さて、さっそく本題に入りましょう。
読者の皆様は「ISO」をご存じでしょうか?
フィルムの感度の表示でおなじみですね(ISO400とか)。
「イソねじ」も、一度は使ったことがあるでしょう。
そう、ねじの頭に小さな窪のある、あのねじです。
製品に記載されている国名(日本ならJPN)もそうです。
そうそう、非常口の「駆け込みマーク」もISOなんですよね。

一般には「アイエスオー」と発音します(イソねじは、なぜかイソ)。
ご存じありませんか?意外と身近なところでよく見かけます。
JISは皆さん、ご存知ですよね。日本工業規格のことです。
「ISO」も似たような考え方です。一種の規格なんです。
「国際標準化機構」の略称です。そう、国際標準の指針なんですね。
お住まいの地域の自治体、「ISO14001」なんて謳ってませんか?
「ISO14001」は環境保全に関する国際標準の規格です。

でも、今日の話題は「ISO14001」ではありません。
今日は「ISO9001:2000」についてのお話です。
これは「ISO9001」の2000年版規格という意味です。
なんだか、よくわからなくなって来ましたね。
身近なところから考えて行きましょう。

学校では当然のように一定の運営基準(業務体系)を持っているはずです。
しかし、その業務体系はいっさい問題なく遂行されているでしょうか。
「本校は100点満点だ」ということなら、何も申し上げることはありません。
しかし、思うに、どんなに優れた業務体系であっても、問題は発生します。
業務体系が確立されていながら、各人の動きと成果には差が出るものです。

そうそう、こんなことはありませんか?

・同じ仕事でも、やる人によって方法や結果に違いが出てしまう。
・そのせいで生徒や保護者からの、学校に対する信頼を失うことがある。
・失敗が発生しても、過去のデータがないので適切な修正・対策が不可能。
・だからまた同じ失敗が、あちらこちらで繰り返される。
・教職員の人材育成にも時間がかかり、統一性も出せない。
・「言ったはず」「やったはず」「できるはず」という言葉が多い。

これでは業務体系など、なきに等しい状態ではありませんか?
でき上がっている業務体系が、実際には機能していないということです。
トップから末端まで、「単なる惰性で」毎日を過ごしているとも言えます。
生徒や保護者から信頼を得るのは、かなり困難な状態ですね。

こんな時、「ISO9001:2000」が参考になります。
実際に取得する必要はないと思いますが、ヒントを得ることはできます。
特にミドルマネージャー教員ならば、多くの気付きを得られるはずです。
この規格は「品質マネジメント」の規格であり、8つの原則があります。
もちろん、製品だけでなく、サービスや業務体系にも活用されています。
では、その「8つの原則」に触れておきましょう。

1.お客様志向であること。(顧客重視)
   よいサービスを提供するだけでなく、満足してもらえること。
   私がいつも強調している「CS」を具現化することです。
   ただでさえ私立学校の学費は公立学校より高いですよね。
   あえて高い学費を払っている保護者の期待を汲み取るのです。

2.経営者としてのリーダーシップを発揮
   学校の理念(存在価値)と方針(価値実現方法)をトップが提示。
   トップダウンを前提に、業務体系の統一化と確実な遂行を実現。
   もちろん上層部・上司が無責任では、現場はついて行きませんよ。

3.職員全員が参加(人々の参画)
   業務体系の遂行に、無関係な人がいるはずはありません。
   「自分は関係ない」という発言や態度はあり得ないのです。
   すべての現場教職員が、均一に責任と意志を共有すべきです。

4.プロセスの相互作用を体系化して運営管理(プロセスアプローチ)
   個々の業務活動を、ひとつの「プロセス」とみなす考え方です。
   まず、インプット(生徒・保護者の要求)を整理します。
   次にアウトプット(出すべき理想的な回答・結果)を考えます。
   何を準備し、何をやれば、どうアウトプットできるかを整理します。
   この一連の流れを、ひとつの「プロセス」と位置づけるのです。
   これは、各部署や係分担ごとの「システム」構築の基礎となります。

5.個々の「プロセス」を組織としての「仕組み」に入れ込む
   めざすのは、組織全体の目的を達成するための仕組みづくりです。
   教科・担任・学年・進路指導部・生活指導部・教務部・執行部など、
   学校にはプロセスがたくさんあり、複雑に絡み合います。
   これらのプロセスは、それぞれが勝手に完結することはできません。
   いかに連携し、効率よく現場を回転させるか、ということです。

6.パフォーマンスを継続的に改善し続ける
   学校という所は、単発的な「思いつき改善」が多いと思いませんか?
   本来なら、計画を立て、組織として、統括的に改善されるべきです。
   また、ISOでは、繰り返して改善することを要求しています。
   「業績」としてのパフォーマンスを、一度の成功で終わらせないこと。
   よいものは定型化し、不十分な点は改善し続けること。
   メルマガ第9号の「PDCA」を有効に活用してください。
   「改善し続ける組織」だけが、成長を約束されているのです。

7.データを大切にすること(意思決定への事実に基づくアプローチ)
   過去の失敗・成功の事例がデータ化されていることが前提です。
   データを時系列的に見ていくと、失敗・成功の条件が見つかります。
   どんな条件の組み合わせなら失敗しないで済むのか。
   感覚的に「大丈夫だろう」というアプローチでは、危険ですね。
   特定の成功要件を整理し、資源の活用方法を決めていくのです。
   当然ですがトップ(学校執行部)の努力・研究が不可欠です。
   (「資源」とは、ヒト・モノ・カネ・トキのことです)

8.協力機関との関係を大切にすること(供給者との互恵関係)
   これは学校の得意分野の一つです。
   募集係なら下位学校・私塾との、進路指導部なら上級学校との、
   生活指導部なら所轄警察との、教務や総務なら関係業者との、
   学校執行部なら行政や私学協会との関係が重視されます。
   現実的なやり取りの中で、win-win の関係を築くことが基本です。
   「お互い様」の精神で、よりよい信頼関係を構築しましょう。

以上が「品質マネジメントの8原則」を学校に当てはめたものです。
いかがですか? マネジメントの基本がすべて列挙されていますよね。
こうした作業の中で得た、「残しておきたいこと」を明文化しておきます。
こうした作業の中で得た、「失敗の条件と材料」も記録に残しておくのです。
特に、クレームとその対応については、必ず記録を残すようにしましょう。
学校組織の難しさは、個々のレベルの活動成果が周囲に認知されにくいこと。
だから上層部が個々の成果体験を吸い上げられず、体系化しにくいのです。

教員個人の理念と記憶だけで、現場が動いていませんか?
「ISO」という名称を使わなくても、内部監査は可能なはずです。
こうした手法を用いた『学事向上委員会』を組織するのもよい方法です。
ただし、これを実践するのには、上層部の指導力と責任が第一条件です。
「ISO9001:2000」ではトップダウンの維持管理を求めています。
ベクトルがバラバラな作業を寄せ集めても、統一化は図れないからです。
よって『委員会』には、執行部からの明確な権限委譲が必要になります。
その場合「学事と信頼の向上が目的」と、全面に押し出すことが大切です。

近頃では、人事において評価制度を取り入れる私立学校が増えつつあります。
しかし明確な基準を作ること、運用することは至難の業と言えるでしょう。
ともすると感覚的な(印象による)評価が下される危険もあります。
一定のマネジメント体系による業務管理を実践し、それを基準とする。
もちろん管理そのものが目的にならないよう、教員の個性も重視すべきです。
こうした体系が実現されると、真の意味での「適材適所」が可能になります。

【参考】
http://www.rtri.or.jp/rd/iso14001/iso/iso9001.html
http://www.est.hi-ho.ne.jp/atk-uno/page016.html



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-012号- 20041101 第5の経営資源

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【 学園改革を支援する『開窓』 -012-】2004年11月1日号

私立学校を取り巻く状況は、ますます厳しくなるばかり。
不況と少子化の波を、いかに乗り越えるかの試練です。
現存する学園経営の問題を、どのように克服していけばよいのか。
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○○ 第5の経営資源 ○○

おはようございます! 冬の気配を感じる季節になりました。
新潟中越大地震の被災者の方々には、この寒さはこたえることでしょう。
ライフラインの一刻も早い復旧と、着実な復興を願うばかりです。

さて、今回は「第5の経営資源」についてのお話です。
今までに、4つの経営資源についてはお話をしてきました。
前回のメルマガ(第11号)にも、チラッと出ていました。
あなたは、覚えていらっしゃいますか?


↓↓↓↓↓(考え中・・・・)


さあ、いかがでしょうか。思い出していただけましたか?
カタカナで表記してあったはずなのですが・・・・。


↓↓↓↓↓(考え中・・・・)


そうです。「ヒト・モノ・カネ・トキ」の4つですよね。
これらの要素を一つでも欠けば、学校経営としては不十分です。
ところで「第5の経営資源」と呼ばれる要素をご存じでしょうか?
ちょっと、考えてみてください・・・・。


↓↓↓↓↓(考え中・・・・)


いかがでしょうか? それが何か、思いついたでしょうか・・・・。
それは普段から、私たちの周囲に渦巻いているので整理が困難です。
「不平不満」? いえいえ、違います。もっと身近なものです。

・・・・答え合わせをしましょう。それは・・・・「情報」なんです。
ひと口に「情報」と言っても、それはさまざまな側面や特性を持っています。
熱いとか、痛いとか、くさいとか、うるさいとか、苦いとか・・・・。
五感に訴えるもの(認知し得るもの)はすべて「情報」です。
必ずしもメディアで流通しているものとは限りません。

一般には新聞や雑誌・ニュースなどの報道記事を「情報」と考えがちです。
「情報」は受け取るもの、収集するもの、蓄積するもの、利用するもの、と。
受動的に、客体として、「情報」を受け取る姿勢が身についていませんか?

あなたの職場にも、「情報」収集が得意な人物がいることでしょうね。
あらゆる「情報」を収集していて、「歩く引き出し」のような人物です。
しかし「情報」は、多く持っていれば役に立つ、というわけではありません。
「情報」の蓄積量が仕事の質を左右することにはならないのです。
つまり、「物知り(博学)」であるか否かは、重要ではないのです。

「情報」は生き物です。ナマナマシイものです。そう、ナマモノなんです。
ということは、活用できずに蓄積していても、腐らせてしまうだけなんです。
新鮮な食材と同じことで、冷蔵庫に放置して1週間もすれば、生ゴミです。
食欲をそそる形に調理して、食べてもらって、初めて意味があるのです。

何が言いたいのか、もうご理解いただけたと思います。
「情報」を受動的に受け取るだけでは、「生ゴミ」化していきます。
私が言いたいのは「情報とは作り出すべきものだ」ということなのです。
受け取ったさまざまな「情報」を、アレンジし、編集し、活用する。
分割したり、結合したり、変換したり、抽出したり・・・・。

「めざすべきもの」を実現するために必要な「情報」は何なのか。
関連する「情報」を、そのままの形で現場に流し込んでも無意味です。
なぜなら、組織ごとに環境、要員、方針、伝統、手法の違いがあるからです。
よその「情報」を流し込んでも、活用できなければ意味はありません。
単に「知る」ことと、真に「理解する」こととでは、大きな差があります。

「新しい情報を、適切な形で作り出し、現場に還元する」ことが大切です。
その作業の材料・資源としての「情報」を収集するのです。
たいていの人は「情報」収集だけで理解した気になり、満足してしまいます。
しかしそれでは、真の意味でその「情報」を理解したことにはなりません。
周囲の人間が活用できる形に変換できなければ、ただの「情報」オタクです。

「情報」を変換し、新たな「情報」を作り出すためには、何が必要なのか。
それはおそらく、自分自身を歯車に置き換えて考える能力でしょう。
自分のことしか見えていない人がもたらす「情報」は結局ひとりよがりです。
いくらたくさん「情報」を提供をしても、周囲には意味不明でしょうね。
そのような状態では「情報」を「資源」に変えたとは言えません。

「情報力」は、すなわち「変換力」であり、「鳥瞰力」が求められます。
組織全体を見渡す眼、組織の外までを見通す眼、その両者が必要なのです。
渡り鳥のように、遠近の間を行き来し、全体を見渡せると良いですね。
そうなってはじめて「生ゴミ」ではない、生きた「情報」を生めるのです。

そういえば・・・・ある尊敬する方から、こんなお話を頂きました。
「情報は、情報を活用したがる人のところへ、自分から集まるものよ」と。
一つの情報から連鎖的に、新しい情報に繋がることがあります。
また、ある情報をもとに新たな情報が生み出されるようにもなります。
このお話を頂戴して、私は「情報」の重要性を深考するようになりました。

当然、「情報」を収集しつくしていなければ、それは実現しません。
しかし今日のお話は、収集で終わってはいけない、ということでした。
アンテナを四方に張り巡らせ、縦横無尽に「情報」を使い倒す。
何より大切なのは、仕入れた「情報」から新たな「情報」を作ること。
今日からは、今までと違った目で「情報」を操っていただきたいと思います。


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-013号- 20041115 AIDMAの法則

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【 学園改革を支援する『開窓』 -013-】2004年11月15日号

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○○ 「AIDMAの法則」 ○○

おはようございます! 世界的にあわただしい2週間でしたね。
そろそろ運動会や文化祭も終わって、一息ついたところでしょうか。
今週も、私学の隆盛のために、ともに頑張りましょう!

今回は「AIDMAの法則」についてお話しします。
受験生との関わり方について、きっと参考になると思います。
読み方は「アイドマ」です。消費行動の流れを整理したものです。
他にも類似の整理法があるのですが、世間ではこれが基本です。
ホールという人物が提唱した、知覚から購買までの段階整理法です。

ある商品を知ってから購入に至るまで、最低3つのプロセスを通ります。
「知る(認知)」→「思い入れ(感情)」→「使ってみる(行動)」。
受験のプロセスも同じように考えることができますね。
最後の「使ってみる」を「受験してみる」に替えるだけです。
(あなたの学校を知り、好きになり、受験する)

「AIDMAの法則」では、競合のことは特に考えません。
上の3つのプロセスを、5つの要素に分解するだけです。
では、その中身を一つずつ見ていきましょう。

1.認知段階

  ア「Attention」(注意)
   受験の時期が近づき、情報を拾い始める段階です。
   方針・評判・進学率・通学時間などで絞り込まれていきます。
   その作業の中で、あなたの学校を知る(知覚)ことになります。
   ※あなたの注意点 → 目に留まりやすい媒体を活用しましょう。

2.感情段階

  イ「Interest」(興味・関心)
   絞り込んだ中から、特定の条件で順位付けがなされます。
   それは部活動だったり、施設だったりすることもあります。
   あなたの学校がその条件にヒットすれば、興味を持ってくれます。
   ※あなたの注意点 → どのような話題・材料で興味を持たせますか?

  ウ「Desire」(欲求)
   「もっと知りたい」「実際に見学したい」と思い始めます。
   この段階まで進むと、受験への可能性は飛躍的に高まります。
   見学の申し出があったら、親身の対応を心がけましょう。
   モノのサービスよりも、あなたの対応の方が強く印象に残ります。
   ※あなたの注意点 → 突然の申し出もあるはず。準備を怠りなく。

  エ「Memory」(記憶)
   良い印象を持つと、強く記憶に刻み込まれます。
   しかもこうした場合、「良い」記憶は増幅される傾向があります。
   ただし、この段階まで来て「ガッカリ」があると嫌悪に変わります。
   不安や不満を生じさせないよう、細心の注意を払いましょう。
   クロージング(契約=出願)のための最重要段階です。
   ※あなたの注意点 → 不安を取り除く材料を提示してあげましょう。

3.行動段階

  オ「Action」(行動)
   上記の4つの段階で問題が生じなければ、出願につながります。
   たいていの募集担当者は、この時点で安心してしまいます。
   期待に応えられるよう、学事の充実も忘れないでください。
   受験生は「学校」ではなく、「新しい生活」を買うのですから。
   期待を裏切ると、大きなしっぺ返しを食らうことになります。
   ※あなたの注意点 → 入学まで不安解消のサポートを忘れずに。

すでにお分かりのことと思いますが、この法則は「買い手」分析です。
買い物の重要性が大きく、価格が高いほど、各要素は顕著に現れます。
当然、それぞれの要素における通過時間も長くなってきます。
追い込むような募集活動は、信頼を裏切るだけです。
しっかりと時間をかけて、受験生の不安を解消してあげてください。
ボールペン1本を買うのとは、わけが違います。

あなたの経験で考えてみてください。例を挙げましょう。
ボールペン1本買うのと、クルマを買うのと、悩む時間は同じでしょうか。
クルマでわかりにくかったら、住宅だったらどうでしょうか。
情報収集・情報比較・情報精査。当然、かける時間が違ってきますよね。

受験生にとって「受験」とは、未知の新しい生活を購入する作業なのです。
期待に応えるだけでなく、自分でも気付かない何かを引き出してくれる学校。
新しい学校での生活によって、成長や変化を実現させてくれる学校。
そんな期待を持って入学する生徒も少なくないはずです。

生徒の人生を預かる学校は、一般企業以上に究極のCSを実践すべきです。
(CSについては、メルマガ第005号を参照してください)
  ※バックナンバー http://kaisou.gozaru.jp/page017.html
あなたの学校の理念に向かない生徒には、他校を勧める勇気も必要です。
「裏切らない」ことを最優先して、募集活動を実践すべきでしょう。

当たり前のことですが、一つの情報に対する感じ方は人それぞれです。
「難関」と受け取るか、「滑り止め」と受け取るかも違います。
学校に求める要求事項(学事・学業・部活動など)も違います。
進学率重視の人もいれば、「楽しさ」重視の人もいます。
一人一人に真剣に向き合い、あなたの学校との適性を見てあげましょう。

誰に対してメッセージを発するのか、ということを大切にしてください。
通り一遍で、誰に対してもまったく同じ。そんなメッセージではダメです。
また、「認知」「感情」「行動」の段階によって、反応が変わるはずです。
それに合わせて、あなたが発するべきメッセージも変わっていくのです。
常に受験生の立場に立つこと。その姿勢が信頼を生みます。
表面上の人数集めをしてしまうと、学校も混乱し、信頼も失います。
生徒を集める段階から、こうしたCSを意識していてほしいものです。



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-014号- 20041129 「時代の変化」を知る
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○○ 「時代の変化」を知る ○○

寒くなってきましたね。校舎から見える富士山もすっかり雪化粧。
そろそろ霜柱を踏む音が耳に残る季節。日も短くなりました。

ビジネス界ではMBA的な発想が流行り、セミナーが大盛況です。
私学界においても、同様のセミナーが取り入れられるようになってきました。
しかし、私学の教員を対象としたセミナーで聞かされるのはいつも同じ。
「成功事例」と題して、○○学校や△△学校の人気ぶりを羅列しただけ・・・・。
そのままでは自校の運営に取り入れられない手法が多いと思いますし、
なぜ「成功」なのか、具体的に何をすべきか、がよくわかりませんね。

どのコンサルタントも口をそろえて言うのは「お客様意識」のことです。
しかし、これさえも、このメルマガの読者にとっては周知のことです。
すでに「CS」については、第005号でご説明させていただきましたから。
http://kaisou.gozaru.jp/page017.html

コンサルタントの発想は、たいていの場合、現場とはズレが生じます。
しかし彼らの立つ「顧客重視」スタンスは見習わなければなりません。
大切なのは、そのスタンスに立って「何をやるのか」ということです。
大げさな言い方をすると、こんな言い方で表現できると思います。



「あなたの学園は、いったい何を実現するために存在するのか?」



これは、あなたの学園の存在理由であると同時に、目的を意味するのです。
時代(政治経済・国民性など)の変化に敏感でなければ、設定できません。
「世の中が変わった」ということは、誰でも異論のないところです。
少子化による「ゼロ成長市場」、不景気による「ゼロ成長経済」。
でもね。この二つは「変わった」のではなく、「とうとう来た」だけです。

子供たちが減少してくれば、貴校の入学者が減少するのは当然のこと。
ですが、この、「市場の変化」は前々からわかりきっていたはず。
何の対策も打ってこなかった、あなたの学園の上層部が怠惰なだけです。
また、現場から声を上げなかったのならば、現場にも責任があるのです。
わかっていながら有効な対策を打ち出さなかった結果が、今あるだけです。

経済についても、本当はいわゆる「不景気」とは言えない状況です。
「不景気」なら、いずれは景気が好転し、上昇傾向に変わります。
あなたはそのようになると本気で思いますか?
私には、とても景気が好転するとは思えません。
そうです。いわゆる「不景気」なんかじゃありません。
景気が低迷しているのではなく、経済構造そのものが変わったのです。
高度成長期のように「作れば売れる」世の中ではなくなったのです。

様々な要因が絡み合って、現在の状況が発生しています。
その要因の一つに、「高学歴化」を挙げることができるでしょう。
大学進学率が急速に高まり、保護者の大半が大学を卒業しています。
「先生=大卒」ということで尊敬された時代は、とっくに終わっています。
一流大学を卒業した保護者が、そうでない大学を卒業した教員をどう見るか。
むしろ軽視される場面が多くなってきているのだと、私は思います。
進学指導でも「先生より自分の方がよく知っている」と言い出すでしょう?

また、民衆の高学歴化は経済構造の変化にも大きな影響を及ぼしています。
特に、ビジネスに携わる保護者の眼は、大変シャープになってきています。
企業の組織構造や、製品の品質を見抜く眼を備え始めているのです。
それほどの眼を持った人物に、学校の内部が見えないはずはありません。
学事や通信物、変事への対応、教員の物腰と発言、すべてにおいてです。
特に家計を預かる女性の眼は「さすがだな」と言わせる洞察力を備えます。

しかも昭和43年の「消費者保護基本法」以来、「消費生活用品安全法」、
「訪問販売等に関する法律」、「不当景品類及び不当表示防止法」、
そして最近では平成7年に「製造物責任法(PL法)」が制定されるなど、
消費者を保護する法律が相次いで発効されました。これは重要なことです。
すなわち、「金を支払う=対価どおりのサービスを受ける」という意識が、
国民に定着したことを物語っています。教育業界とて例外ではありません。

さらに、高学歴化と男女平等社会の実現により、女性の結婚希望率が低下。
「家庭に入るより、職業人としてアイデンティティを発揮したい」と・・・・。
結婚しないということで、これは当然、少子化の一因にもなってきます。
たとえ結婚しても子供がいたら、女性は不利になる危険もありますよね。
男女平等社会になっても、男女平等会社はまだまだ少ないはずです。

われわれが顧客の立場に立つとき、こうした時代の変化が見えるかどうか。
これを見据えたうえで改革案を提示しなければ、その案は夢に終わります。
一言で言えば「対価以上の仕事で顧客の期待に応えること」が条件です。
保護者の信頼を勝ち得るために、我々に課せられた責任は何なのでしょうか?
それでは最後に、もう一度あなたに問いかけておきます。

「あなたの学園は、いったい何を実現するために存在するのか?」と・・・・。



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-015号- 20041213 「管理者」と「リーダー」

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【 学園改革を支援する『開窓』 -015-】2004年12月13日号

私立学校を取り巻く状況は、ますます厳しくなるばかり。
不況と少子化の波を、いかに乗り越えるかの試練です。
現存する学園経営の問題を、どのように克服していけばよいのか。
多くの学校のトップは、運営手法に不安を抱えています。
現場の声でトップを動かし、改革を推進するためのヒント集です。

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○○ 「管理者」と「リーダー」 ○○

いよいよ学期末。いや、年末ですね。あっという間の1年でした。
今年も1年間、お疲れ様でした。もっとも年度末までは気を抜けませんが。

今回は「管理者」と「リーダー」について書かせていただきます。
この両者はよく似ていますが、実際には違う概念です。
「管理者」は能力のあるなしに関わらず、「管理者」です。
しかし「リーダー」は、単なる組織上の立場とは違います。

「管理者」は立場を示し、「リーダー」は能力を示しています。
ハッキリ言えば、単なる肩書きだけの「管理者」もいるということです。
研修会やセミナーに行ってご覧なさい。数人は発見できるはずです。
名刺に肩書きを多く入れたがる人は、たいていこの部類です。

「リーダー」はなろうと思ってなれるものではありません。
周囲からの信頼と支持を得られなければ、「リーダー」とは呼べません。
その反面、「リーダー」はベテランから若手まで、経験を問われません。
能力とモチベーションが備わっていれば、その資格を得られます。

もちろん能力と言っても、職務能力のことではありません。
それは「巻き込み力」です。言い換えれば「率先力」と「牽引力」です。
経営トップに「理念」と「方針」とを構築させる「下支え力」でもあり、
部下や後輩に≪あるべき姿≫と≪向かうべき方向≫を示す力でもあります。

マネジメントクラスの中堅層は、こうした「リーダー」になるべきです。
上記のような個人の力を、一般に「リーダーシップ」と呼んでいます。
特に≪あるべき姿≫と≪向かうべき方向≫を明確に示すことが必要です。
これは「ゴール」と「プロセス」と言い換えることもできますね。
トップが示す「理念」と「方針」のブレークダウンとも言える概念です。

トップとの示し方の違いは、その思考基盤の違いです。
トップが組織のあり方を示すのに対し、リーダーは個人のあり方を示します。
ただし、リーダーは常に、組織への貢献を念頭に置く必要があります。
したがってトップと言えども「リーダーシップ」は重要になってきます。
いや、高いレベルの職位になるほど、その重要性が増すのです。

では、「リーダーシップ」はどのようにして手に入れれば良いのでしょうか。
これは簡単なことで、日頃の自身のあり方と過ごし方によって決まります。
あなたは『葉隠』という書物をお読みになったことがありますか?
そうです。「武士道とは死ぬことと見つけたり」のあの書物です。
この文言が一人歩きしていることで、ある誤解を生じています。

よく読まずにこの書物を誤解している人を多々見かけます。
「封建時代の異物」と、頭ごなしに否定する人がいるのです。
注意深く読んでご覧なさい。決してそんな程度の書物ではありません。
ここに説かれているものは「率先・実践・奮戦」の姿勢です。
「死ぬことが良いことだ」などとは書かれていません。
いつ死んでも後悔しない生き方をせよ、と書いてあるのです。

これはリーダーシップの原点とも言える要素ではありませんか。
「率先・実践・奮戦」とは、がむしゃらに理想を求めた結果の生き方です。
この書物に書かれているのは、死に方ではなく、「生き方」なのです。
上には諫言をし、下には忠告をする。まさにミドルの基本姿勢です。
上にへつらい、下におもねるような、安い人物では信頼されません。

しかし、これを遂行するには、自身のあり方が問題になってきます。
生徒のために恥じない毎日を過ごしているか。
学校組織のために少しでもプラスの働きをしているか。
その姿勢が、上を動かし、下を惹き付けるのではないでしょうか。
「リーダーシップ」とは、こうして育まれていくものだと思います。

「管理者」になるのは簡単です。システムにうまく乗ればなれるでしょう。
大切な命題は「リーダーシップ」のある「管理者」になることです。
先述の通り、リーダーになるには能力とモチベーションが必要です。
自分に恥じない日々の過ごし方を、よくよく考えなければいけません。
周囲への良き影響力を発揮し、よって周囲を良き方向に導くのが仕事です。
「率先・実践・奮戦」することで、否応なく周囲を巻き込んでいくのです。

このメルマガを解除しないあなたは、おそらく『葉隠』型の人物でしょうね。
強い信念があり、確固たる理想を持ち、言われなくても行動する・・・・。
仕事に苦しみながらも、その中で着実に理想を実現していくタイプの人物。
私にはわかります。あなたには「熱い情熱」があるということが。
その情熱が危機感を生み、問題意識を育み、当事者意識を形成します。

あなたの姿勢を見て、周囲はいつか率先して動くようになることでしょう。
組織の目標を達成できるよう、道筋を付けてあげるのがあなたの仕事。
的確な状況判断、周囲への意識付け、そして自己開示。
トップや周囲へのコミュニケーションを通じて、これを実践してください。
あなたの姿勢は、いつか必ず周囲を変化させることでしょう。
このことが「リーダーシップ」の基礎基盤となっていくのです。


※勝手ながら年末年始の配信をお休みさせていただきます。
 次回の配信は、新年1月10日を予定しております。お許しください。


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-016号- 20050110 「これって問題?それとも課題?」
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【 学園改革を支援する『開窓』 -016-】2005年1月10日号

私立学校を取り巻く状況は、ますます厳しくなるばかり。
不況と少子化の波を、いかに乗り越えるかの試練です。
現存する学園経営の問題を、どのように克服していけばよいのか。
多くの学校のトップは、運営手法に不安を抱えています。
現場の声でトップを動かし、改革を推進するためのヒント集です。

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○○ 「これって問題?それとも課題?」 ○○


明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い申し上げます。

発行者 Anubis です。昨年はご購読ありがとうございました。
4人の読者の方から「年賀メール」をいただきました。
大変うれしく、また心強く思います。感謝の念にたえません。
わずかながら読者の数も増えつつあります。(現在65名)
新年第1号は、表記の題材でお届けいたします。

唐突ですが「問題」と「課題」との区別はできていますか?
この両者、ゴチャマゼにしていると業務に支障を来たします。
「問題」とは、目の前で起こっている、さまざまな不具合のこと。
「課題」とは、その「問題」を撲滅するために解消すべきテーマです。

「問題」はカテゴリー別に積み上げて「把握・構造化する」ものであり、
「課題」は目標(理想)と現実とのギャップ(=問題)を埋めるため、
「今なすべきこと」を細分化したものです。つまり「指標」です。
「課題」は既に存在するのではなく、作り上げるものなのです。

「問題」を分析して構造化することと、「課題」設定は違います。
客観的に「問題」を把握し、主体的に「課題」を組み立てていきます。
主体的である以上、「課題」は「誰にとっての課題なのか」が重要です。
たいていの場合、自分を中心に構築されますが、帰結はあくまで組織です。
それも、現実的に実践できるレベルまで落とし込まなくてはなりません。

それには活用資源(ヒト・モノ・トキ・カネ・情報)のバランスが大切です。
(→バックナンバー第12号をご参照ください。)
http://kaisou.gozaru.jp/page010.html#lcn013
活用できる範囲で、現実に結果を出せるようにマネジメントするのです。

気軽に使われている「課題」という用語ですが、よく疑問を感じます。
「生徒数の増加が課題だ」とか「業務システムの構築が課題だ」とか。
これって「課題」と言えるんでしょうか?具体性も何もないですね。
これらはあくまで「目標」でしょう?「課題」とは呼べません。

では、「課題」の必要条件とはいったい何なのでしょうか。
それは「方向」なんです。「向かっていくべき方向」です。
何をめざし、何を実現したいのか?「課題」の最低条件です。
当然、時間との戦いが制約として存在します。既知のことと思います。

「問題」をやっつけるために必要な手法と資源は何か、が大切なのです。
ミドルマネージャーとして、その方向付けを周囲に提示してください。
いつまでに、何を、どのようにして、どんな資源で実現するのか・・・・・・。
その道筋を示すのが「課題作り」と言われる作業となるです。

「問題」はすでに存在していて、現実に追われる対象です。
「課題」は既存のものではなく、追いかけ、構築するものです。
両者を絶対に混同してはなりません。システム構築が遠のくからです。
「問題」と「課題」との関係は、いわば「現状」と「理想」との関係。
また、「失敗原因の追究」と「結果実現の作業」との関係でもあります。

「課題」設定の材料として、「問題」の把握と構造化が必要なのです。
先述の通り、「課題」は目標(理想)と現実とのギャップを埋める思考。
それにはまず、「目標」を明確化する作業が大前提となります。
この「目標」。よく「方針」と混同されていることがあるようです。
「目標」と「方針」とは似ていますが、実はまったく異なる存在です。

次回はこの、「目標」と「方針」との違いについてお話しいたします。
両者はそっくりさんですが、概念上で明確な区別がなされています。
なお、次回の配信は1月24日の予定です。
次回もどうかお楽しみに。乱文、切にご容赦のほどお願いいたします。


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-017号- 20050124 「目標と方針との違い」
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【 学園改革を支援する『開窓』 -017-】2005年1月24日号

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不況と少子化の波を、いかに乗り越えるかの試練です。
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○○ 「目標と方針との違い」 ○○

寒くなりましたね。学校の子供たちはカゼを引いていないでしょうか。
前回は「問題」と「課題」との違いについてお話ししました。
http://kaisou.gozaru.jp/page010.html#lcn017
今回は「目標」と「方針」との違いについてお話しします。

タイトルとはズレますが、まず「目標」と「目的」を区別しましょう。
「目標」とは、実現したい理想的な状態(活動の結果)を言います。
言い換えるとそれは「期待されるべき改善活動の成果」です。

これに対して「目的」は、諸活動の最終的な帰着地点を示します。
それはあらゆる「目標」の総和であり、学校の存在意義となります。
だから順序としては、「目的」を達成するために「目標」を設定する。
そういう順序になります。いわば「目標」は「目的」の達成材料です。

たとえば「富士山の山頂を極めたい」という「目的」があったとします。
それには「○時までに5合目駐車場に到着する」という「目標」が必要です。
そのために「何時までに御殿場インターを降りるのか」を決めておきます。
またそのために「何時までに東名高速に乗るのか」も決めざるを得ません。
最終的には「何時までに自宅を出発するのか」という「目標」も必要です。

このように「目的」を達するには、「目標」を細分化する必要があります。
これを「目標のブレイクダウン」と呼びます。
大目標から小目標へ。実現することを条件に考えていかなければなりません。
それはつまり、学校全体から各部署へ、そして各要員への細分化です。

この例では直列的な「目標」配置となっていますが、並列もあり得ます。
「進路指導・生活指導・学力の底上げから学校の信頼度を高める。」
この場合は並列的な「目標」配置と言えますね。

上記のように、「目的」と「目標」とを明確に区別して設定しましょう。
それでは話を本題に戻します。「目標」と「方針」との違いです。

「目標」は「期待されるべき改善活動の成果」のことだと言いました。
改善活動をになう各要員が、明確に意識できていなければなりません。
そのために、「目標」設定には一つの条件が存在します。
それは「目標=成果 ⇒ハッキリ認識できる形であること」です。
直感的に認識できるよう、数値や状態(レベル)でゴール地点を示します。

例を挙げましょう。「学校経営を立て直したい。」これは「活動目的」です。
いや、ここまで大雑把な場合、むしろ「願望」と呼ぶべきでしょうか。
「○年度に定数確保を実現化する。」という形を示してこそ「目標」です。
ただしそのためには、さらに細分化された「目標」設定も必要です。
どの部署で、誰が、いつまでに、何を実現させるのか、といった具合です。
目で見てわかる形や数値で「目標」を提示すること。最低条件となります。

次に必要になるのが「方針」です。「目標」と何が違うのでしょうか?
「方針」とは簡単に言えば「動き方」のこと。つまり制約条件となります。
「目標」を達成するために、どんな道筋で、どんな条件で、
どんな方法で動いていくのか、ということを決めるのです。
しかし、単なる「目標達成手段」という考え方では、活動が破綻します。

「方針」は「目標」達成の、単なる「制約条件」では終わりません。
それだけの考えでは、「方針は背負い込むもの」という誤認が生まれます。
結果として自分を縛り付け、自由奔放な活動の妨げにもなりかねません。
「方針」は「目標」を達成してこその「方針」ではありませんか。

先に「目標のブレイクダウン」ということを申し上げました。
学校全体から各部署へ、そして各要員への細分化。
その各段階ごとに「○○目標のための方針」という形で、
部署ごととか、個人ごととかに「方針」が必要となってきます。
そうです。「方針」はトップからもらうのではなく、自分で決めるのです。
もちろん、その行動の帰着点は「組織への貢献」でなければなりません。

各段階ごとの「○○目標のための方針」ですので、次の注意が必要です。
それは、前段階では「方針」でも、下位段階では「目標」となるということ。
たとえば若手教員の生活指導力を向上させたいとします。
生活指導部長にとっては、学事の信頼度向上のための「方針」となります。
しかし、当の若手教員にとっては「目標」として認識されることになります。

このように段階や担当者によっては、「方針」が「目標」にシフトします。
それだけではありません。「○○目標のための方針」が必要です。
若手教員は「目標」達成のための、新たな「方針」設定を求められます。
このように誰のための「目標」「方針」なのかが重要な大前提となるのです。
つまり各段階の中で、「目的と方針とをセットで設定する」ことになります。

与えられた「目標」を達成するために、自分として「方針」をどうするか。
この関係はいわば「どこへ行くのか」と「どうやって行くのか」との関係。
ゴールとプロセスとの関係として、セットで考えて欲しいと思います。
「方針」の設定には、力点をどこに置くかという難題がありそうですね。
効率を優先しすぎると、形骸的なヌケガラ作業になってしまいます。

「目標」は「期待されるべき成果としての帰着点」。気を付けてください。
「まず方針ありき」では、「目標」は永久に達成されません。
「どうやって行くのか」を先に決めても、無意味としか言えません。
「どこへ行くのか」は、それだけでは決まらないからです。




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-018号- 20050207 「対話から提案へ」
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【 学園改革を支援する『開窓』 -018-】2005年2月7日号

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○○ 「対話から提案へ」 ○○

こんにちは。週末から息子と一緒に風邪を引いてしまいました。
インフルエンザも流行り始めた様子、お気をつけください。
いよいよ募集活動も大詰め、入試のシーズンになりましたね。
「集まればいい」という発想ではなく、仕上げが肝心です。


この一年、あなたも多くの受験予定者と会話したことと思います。
しかし単なる「営業(人数集め)」に終始しなかったかどうか・・・・。
実際に人数が集まらなければ、学校としても困ってしまうわけですが、
そのことばかりを優先していると、羊頭狗肉に堕してしまいます。

よく「説明会に大勢の参加者があった」と喜んでいる方を見かけます。
でもそれだけでは、真の信頼関係を構築できたとは言えません。
知名度さえ高ければそれでいいのか、ということになってしまいます。
有名なデパートや大手家電量販店にひやかしの客が多いのと同じです。
入学して「話が違う」ということになると、学校全体の信頼が揺らぎます。
学校の信頼は、口コミ情報によって多分に左右される傾向があるからです。

気をつけていただきたいのは、学校の名前を売っても無意味だと言うこと。
貴校を知っているから説明会に来るのです。後追いはムダな作業です。
また施設内容や進学先、カリキュラムも大変重要な売り物かも知れません。
しかし、保護者にとって一番の心配は、教師を信用できるかどうかです。
逆に言えば、私学の一番の売り物は「あなた(現場の教員)」なのです。

ここで大切なのはCSです。生徒・保護者の視点で学校全体を見ること。
なお、「CS」についてはバックナンバーの005号をご参照ください。http://kaisou.gozaru.jp/page010.html#lcn005
学校としてのスタンスを十分に説明して、理解していただきます。
ただし「聞く姿勢」を基本に話を進めていくのです。
相互理解が実現して、初めて募集の責任を果たしたと考えるべきです。


あなたは、2月6日(日)の読売新聞朝刊をご覧になりましたか?
「教育」に関する世論調査の結果が発表されていましたね。
「ああ、あれは公立のことだろ?オレたちは私立の教員だから!」
まさかあなたは、こんな無茶苦茶な考えは持っていませんよね?
公立も私立も関係ありません。保護者から見れば同じ「学校」です。

確かにマスコミの煽動によって、学校に対する誤解が多々あるのは事実です。
学校教育を「不満」とする家庭は7〜8割程度に上るようですが、
その大半は教師に対する不満です。(過激報道の影響もありますが・・・・)
経済的理由で公立、という家庭も増えていますが、この調査によると、
「教育費」を不満とする保護者は、回答者のうちわずか16%ほどでした。

「教師の質」を不満とする保護者が60%となっていますね。
マスコミの悪影響を考慮して話半分としても、約3割です。多いですね。
実際に現場で仕事をしていると、頭ごなしのクレームが来ることがあります。
家庭教育のずさんさを棚に上げて、なんでも学校のせいにする。
こんな保護者が増えているのは、残念ながら事実と言えるでしょう。

しかし、きちんと筋道を立てて説明すると、たいていは納得してくれます。
これは逆に言えば、平時から理解を求め続ける必要があるということです。
コンプライアンス的な発想が、学校にも求められ始めているのでしょう。
恐れるべきは「こんな学校だとは思わなかった」という一言です。
私立学校では、ほとんどの場合、転校は不可能なはずです。
生徒の人生を、「相性が悪かった」という一語で済ませることはできません。

以前にも申し上げたとおり、受験段階からの対話が重要なのです。
進路や部活動やカリキュラム、施設や補習講習など、材料は色々でしょう。
でもこれだけでは、学校と家庭とが相互理解を果たすことはできません。
「3年間、毎日の生活を送る場所として適切な学校かどうか・・・・」
そのことを、本人と保護者によく考えてもらい、納得してもらうのです。
「入れてしまえばどうにかなる」などとは、決して思わないでください。


学校説明会には、必ず個別相談の場を設けましょう。
その席で、本人が気付いていない、未来への可能性を引き出すのです。
聞き役に徹し、入学後の青写真を作らせ、現実とのギャップを認識させます。
本人や保護者が望んでいるものが、浅いケースが多いことに気付くはずです。
そこで対話の中から本人の「隠し味」を見抜き、顕在化させるのです。
その長所の活かし方をこちらから提案することで、安心感を提供できます。

「受験するとは限らないのに、ここまで考えてくれるのか」
そう思っていただけなければ、対話としては失敗です。
5分から10分程度の対話の中で、この作業を実践しなければなりません。
自分の子供の進路と同じくらい真剣に考えてあげてください。
判断の内容によっては、他校の受験を進めてあげる必要もあるはずですよ。
そんなときに色気を出して引っ張ると、「不親切な学校」と評価されます。


民間企業では「提案営業」という集客理念が定着しつつあります。
自社製品の長所を売り込むのではなく、顧客の持つ可能性を引き出します。
そしてめざすべき方向性を示し、そのために援助できる内容を説明します。
したがって「話す営業」ではなく、「聞く営業」へとシフトしているのです。
こんな世の中の流れを知らず、未だに「売り込み」中心の説明会では・・・・。
保護者にしてみれば、「話を聞いてくれない学校」という印象が残ります。

学校の本来のあり方を考えれば、簡単におわかりになると思います。
「学校(教員)と保護者と生徒」の三者が一体にならなければいけません。
そのとき初めて、相互理解が形を得、質の高い教育が可能になるのですから。
「売り込み」では実現できませんね。「押し売り」は論外と言えるでしょう。
パートナーとして相互に理解し、提案し合える状態が理想ですね。

生徒や保護者に育ててもらえる学校。そして教員。一つの理想像です。
ともに力をあわせて学校を作り上げていくという意識。
私学だからこそ、大切にして欲しいと思います。




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-019号- 20050221 「人材育成のために」
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○○ 「人材育成のために」 ○○


入試もどうにか一段落。つかの間の静けさに浸っています。
私の担当地域からの受験者が多く、営業活動の効果を実感しています。
しかし、中には結果を出せない、若い地域担当者もいるわけです。
一所懸命に活動しているのに、なぜ結果が出ないのでしょうか。

これは実に簡単なことで、「効果の出る募集活動」をしていないからです。
「そんなことは当たり前じゃないか!」と怒らないでください。
その「効果の出る募集活動」の中身を理解できていない、という意味です。
彼らの話を聞くと、一方的に学校の宣伝をしてしまうケースが目立ちます。
それなら学校案内やホームページを見ていただければ、ことは済みます。

こんな状況を打開したいとき、あなたならミドルとしてどう指導しますか?
手取り足取り、募集活動の手順や手法を教えてしまってはいませんか?
いろいろな情報や手立てをインプットしても、人材は育ちませんよ。
このことは、OJT(on the job training)では、周知の事実です。
なぜなら、アウトプットさせて初めて本人の経験知識となるからです。

おそらくこれまで、いろいろな募集の手立てを指導したことでしょう。
しかし、あなたがインプットしてきたことを、彼らは他人に教えられますか?
ぜひ試してみてください。絶対にあなたのようにはできませんから。
身についていないものは、いくら頑張ってもアウトプットできないからです。

危機感の強いあなたが若手を見て焦る気持ちは、私にはよくわかります。
でも、ここが我慢のしどころ。教師の悪い癖は「すべて教えてしまう」こと。
状況を把握させ、考えさせ、どう動くべきかを本人にアウトプットさせる。
ここまでできていなければ、あなたのアドバイスは空虚に響くだけなのです。
あなたは軌道修正するだけで良いのです。来たるべき結果の予想を添えて。

授業のことを考えてみてください。板書と説明だけで生徒は理解しますか?
一方的に書いて話すだけの授業では、誰も理解してくれませんよね。
考えさせ、答えさせる。つまり、アウトプットで本人への定着を実現する。
相手が大人の教員でも、教育のその基本には何ら変わりはないのです。



学校に限らず、多くの組織が、「人材育成」の意味を履き違えています。
そもそも「人材は育つもの」という発想からして間違っています。
「人材」を磨き上げて「人財」に変えていかなければ、育成は失敗です。
「育成」とは、「育てて成さしめる」ことを言うのですから・・・・。

マニュアル世代の若い教員にとって、「アウトプット」は極めて困難です。
募集活動を例に挙げましたが、業務すべてにおいて、このことは言えます。
マニュアル世代の特徴は、決められたとおりにしか発想と行動がないこと。
また、視野角が狭く、自分の直接関わっている分野にしか眼が向きません。
そのぶん、スペシャリストとして高い能力を発揮する人物は多くなります。

しかしここは「学校」です。基幹業務は一つではありません。
部活動しかできない。進路指導しかできない。生活指導しかできない・・・・。
学校におけるスペシャリストに対する、生徒や保護者の評価はこうなります。
「○○しかできない」スペシャリストには、自身の存在意義を考えさせます。
「教師として必要な能力は何か?君にはそれが備わっているか?」と。

生徒からの切なる要望を考えるとき、教員はまずゼネラリストたるべきです。
授業も、担任業務も、部活動も、進路指導や生活指導、補習講習も・・・・。
どの分野で生徒から要望が出てくるか、予測がつかなければ未成熟です。
守備・打撃・走り、どれか一つしかできない野球選手がダメなのと同じです。
あなたが若手を育成するときには、こうしたことを教えてあげてください。

教員はまずゼネラリストであり、その上でスペシャリストを目指すべきです。
生徒の切なる要望に応えられない教員は、私学には必要ありません。
それにはまず、あなたが率先垂範して業務の良きあり方を見せつけるのです。
そして若手教員の不安を受け入れ、能力を引き出してあげましょう。
アウトプットさせることを忘れないでくださいね。「定着」が大切ですから。

ミドル教員のあなたは、教員としては業務上、申し分ないかもしれません。
しかし、「人材育成のプロ」として自分を見るとき、妥協点はないはずです。
生徒だけではなく、若手教員の育成のためにも、さらに上をめざしましょう。
若手教員に存在理由を問うと同時に、自身の学内での立場も考えましょう。
人を鍛えるためには、まず自分が鍛えられていなければ追いつきませんから。




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-020号- 20050307 「チーム(組織)のあり方」
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【 学園改革を支援する『開窓』 -020-】2005年3月7日号

私立学校を取り巻く状況は、ますます厳しくなるばかり。
不況と少子化の波を、いかに乗り越えるかの試練です。
現存する学園経営の問題を、どのように克服していけばよいのか。
多くの学校のトップは、運営手法に不安を抱えています。
現場の声でトップを動かし、改革を推進するためのヒント集です。

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○○ 「チーム(組織)のあり方」 ○○


一般的に、成果を継続的に生み出す強い組織(チーム)の特徴は、
以下の五つに集約することができます。

一、リーダーが自分自身のマネジメントスタイルの
  強みと弱みを十分認識している。

二、リーダーがメンバーの特質を知悉し、その活用法をわかっている。

三、メンバーが相互にその才能・特質を理解し、
  認めることができる雰囲気がある。

四、チームの目標をメンバー全員が共有できている。

五、成果を生み出すために、チームが一体感の持てる
  チームカラーを持っている。

※以上『プレジデント』2001年6月4日号より抜粋。
   (武田耕一・元ソニー人事部長「士気の高め方」)
http://www.president.co.jp/pre/20010604/


こんにちは。いよいよ年度も最終月。さぞお忙しいことと拝察します。
部屋の雑誌を整理していて、つい上記の記事を読み返してしまいました。
上記の内容を実践できている私立学校が、いったいいくつあるだろうか?
そんなことを考えながら、今回のメルマガを書いています。

引用した5項目は、「学校」という組織が苦手とするところでしょう。
学校組織全体を見ても、各部署内を見ても、困難な課題と言えますね。
各教員の理念の違い、また法人と現場との意識のズレは必ず発生します。
しかし教育機関である以上、社会的存在目標は共有されるべきです。
各教員がバラバラな考え方で生徒に対応することになってしまうからです。


「チームのあり方」を考える時、第1に必要なのは「目標の共有化」です。
「目標」は各教員の利害や活動に、現実的・直接的な影響を与えます。
妥協点を慎重に探り、すべての教員が理解・納得できる形に整えます。
ただし安易な迎合ではなく、一定の効果を期待できるレベルに維持します。

第2に必要なのは「役割の明確な分担」です。
適材適所の法則で役割分担すると、各教員の「目標」がズレて来ます。
また、いつまでたっても他の仕事ができなくなる恐れもあります。
あくまでも目標に向かって適切な役割分担をなさることをお勧めします。
人材育成をも視野に入れるなら、苦手な者に担当させる方法もあり得ます。

また「役割」と言っても、横方向のいわゆる「作業の分担」とは限りません。
当然ですが、統括する者とされる者、縦方向の分担も必要になってきます。
成員の能力・精神力・経験・期待度など、トータルバランスで考えます。

第3に必要なのは、集団としての「規範」の見直しです。
「規範」とは必ずしも集団を倫理的に規制するものばかりではありません。
暗黙の了解、自然発生的な馴れ合い、歴史的な因襲も「規範」なのです。
この「規範」には、公式なものと非公式なものが入り混じっているはず。
その両面を持つことと社会的規制(コンプライアンス)を意識しましょう。

第4に必要なのは、「仲間意識」の発現です。
これは使い方を誤ると、悪しき習慣(派閥思想)の横行を招きます。
しかし同一の目標に向かって邁進するためには、欠かせない要素です。
目標の共有化を実現するため、分化現象や排他性を抑える努力も必要です。
お互いに助け合い、補完し合い、支え合うことが、組織の地盤となります。

最後は「教員同士の相互作用」(成長の相乗効果)です。
教育という仕事は、死ぬまで完成されることがありません。
お互いの切磋琢磨の中で、上下の区別なく学びあう姿勢を維持しましょう。
役割上だけでなく、対人的(プライベート)な相互作用も重要です。
時に応じて忠告しあうことが、結果的には個人・組織の成長につながります。
苦手は学び、得意は与える。この姿勢を持続・維持することが秘訣です。



今回は組織が組織として成立する要件を考えてみました。
これは職場集団のみならず、クラスのあり方にも言えることですね。
組織に対する牽引と追随の姿勢が、その要員には求められるのです。
謙虚に受け止め、大胆に提案する。これが組織を活性化する王道です。
そもそもあなたの職場が目標とする地点はどこなのか?
そこに行き着くために、組織として何を共有し、何を実践しているのか?
「学校」という世界では、往々にしてこの点が不明瞭なものですね。



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-021号- 20050321 「学習する組織」
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【 学園改革を支援する『開窓』 -021-】2005年3月21日号

私立学校を取り巻く状況は、ますます厳しくなるばかり。
不況と少子化の波を、いかに乗り越えるかの試練です。
現存する学園経営の問題を、どのように克服していけばよいのか。
多くの学校のトップは、運営手法に不安を抱えています。
現場の声でトップを動かし、改革を推進するためのヒント集です。

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○○ 「学習する組織」 ○○


PCの動作不良で発行が遅くなってしまいました。申し訳ありません。
この連休から春休みに入る学校が多いことと思います。
あわただしく年度が終わり、つかの間の休憩という感じでしょうか。
新年度の準備もあり、結局忙しさは何も変わらないような気がします。
今回は、前号に続き、組織のあり方に関するお話をさせていただきます。


ピーター・センゲは組織が学習し、成長するための5条件を提唱しています。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/453231075X/qid=1111362904/sr=
1-2/ref=sr_1_2_2/249-4922064-7593111
現実的なテーマに沿って書かれていますので、学校でも役立つと思います。
理論だけを羅列するような、一般的なビジネス書とはコンセプトが違います。

センゲによれば、「学習する組織」には5つの条件があると言います。
個人から始まって組織へ展開・維持される、5つの段階となっています。
「暗黙知」を「共有知」へと高め、組織的に持続共有する考えです。
ちょうどクラス管理においてたどる道筋と似ているような気がします。
個人が組織を構築し、その構築された組織が個人を構築していく体系です。


1.個人としての自己認識
  自己実現の欲求を持ち、自己啓発の機会を自分自身で作り出すこと。
  「指示待ち人間」には縁のない発想かもしれませんね。
  自分から組織に深く関わり、貢献しようとする意識が大切です。
  「当事者意識」を持って組織全体を見た時、初めて発現する意識です。

2.物事の認識における思い込みの排除
  偏見。先入観。根拠のない「〜すべき」発想。自家撞着。
  いかに優秀な人物でも、こうした要素が思考の邪魔をするはずです。
  客観性を保ち、分析によって現実を認知することが大切ですね。
  これは「問題発見能力」の基盤ともなる重要なスキルです。
  個人で、チームで、学校全体で、実現をめざしましょう。

3.ビジョンの共有化
  共有化されたビジョンは組織が成長するための最低条件です。
  単なる上意下達では、真の意味での共有は実現されません。
  関係者全員を説得し、納得してもらって初めて「ビジョン」が生きます。
  単純なことで、何のために仕事をするのか、という前提になるからです。
  教員の間で仕事の目的の共有がなければ、生徒が戸惑ってしまいます。

4.チームで学習すること
  もちろん、勉強会を開催せよ、という意味ではありません。
  チームの成員間で、成功や失敗を学び合おうということです。
  成功や失敗には必ずその理由があるはずです。これを共有するのです。
  年齢・部署・立場は違っていても、成功要因・失敗要因は同等です。
  特に失敗要因およびクレーム要因は、早急に共有すべきと言えます。

5.システム思考
  以上の4つの項目が満たされた時、これらをシステム化していきます。
  システム化する理由は、大きく分けて二通りあります。
  一つは人材育成において余剰の手間と時間を削減すること。
  もう一つは組織として同じ失敗を繰り返さないようにしていくこと。
  先の4項目がシステム化されていれば、組織管理は磐石です。
  学校として最終的にめざす地点と、手順を明らかにすれば良いのです。
  したがって、何をやるかではなく、リスク意識を高めることが先決です。

これらセンゲの5条件は、個人から組織が構築されていく過程です。
しかし、この5条件がそろった時、個人は組織から学び始めます。
つまり個人と組織、その双方向での学び合いが構造化されることになります。
教科・学年・担当部署など、学校内には見えない意識の壁が存在します。
さらに年齢(世代)による状況認識の格差も存在するはずです。
こうした障壁を取り除き、学校組織全体としてのあり方を模索すべきですね。

釈迦に説法とは思いますが、生徒から見れば「先生は先生」です。
教員によって生徒や保護者の満足度が変わることは、避けたいものです。
「誰々先生のクラスで運が悪い」という声が生徒から出てはいけませんよね。
授業でも、部活動でも、これはまったく同じことが言えると思います。
情熱・責任感・組織への貢献度・職務能力・生徒や保護者からの評価・・・・。
できれば格差が生じないように運営していきたいものではありませんか。




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-022号- 20050404 「スマート仕事」
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【 学園改革を支援する『開窓』 -022-】2005年4月4日号

私立学校を取り巻く状況は、ますます厳しくなるばかり。
不況と少子化の波を、いかに乗り越えるかの試練です。
現存する学園経営の問題を、どのように克服していけばよいのか。
多くの学校のトップは、運営手法に不安を抱えています。
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○○ 「スマートな仕事」 ○○


東京では桜の開花が確認されたようです。
いよいよ新年度。気持ちを一新して新入生を迎えます。
このメルマガも6月末で1周年を迎えます。
「時間がない!」と毎日叫びながら原稿を作成しています。

チームで仕事をする場合、その効果を評価する指標があると便利です。
とは言え、教員の仕事を一律に数値評価するのは、なかなか困難です。
書類の期限違反や想定外のミーティング回数なら数えられます。
しかし、即座に数値評価できない仕事が学校にはたくさんあります。

進捗状況を大雑把な形ででも評価できれば、次に繋げていけますよね。
そんな時、「パフォーマンス指標」を評価の基準にしています。
もともと某国営放送が番組編集管理に使っていた「SMART」です。
最近ではプロジェクトの生産性の管理にも応用されているそうです。
気になるその中身とは・・・・。


1.Specific(具体的である)
   何をめざすのか。何をしたいのか。何を伝えたいのか。
   そうした目的意識が明快に理解でき、チームで共有できること。
   また、そのことにより現場でなすべきことが決まっていくこと。
   つまり単純な形で現場への落とし込みが可能であること。

2.Measurable(計測が可能である)
   期限や限界が設定されている。数量や目標値が設定されている。
   したがって感覚的ではなく、目で見てわかるクリアラインがある。
   これは直接的に業務を制約し、拘束する基準である。
   点数化(ポイント制)を導入できる対象なら有効。

3.Ambitious(意欲的である)または Accountable(影響力がある)
   取り組む前と後とで、その成長度を比較する。
   成長度が予想(事前設定)以下であれば、意欲的とは言えない。
   当然のことながら、意欲的でなければ、現場への影響力は生じない。

4.Realistic(現実的である)
   ありがちなのは、頭でっかちな理想論の横行や重箱の隅つつき。
   どんなにご立派な意見でも、現実的でなければ実行できない。
   チーム要員の能力、現場の理解、資源的に実行可能なレベル。
   そのうち一つでも欠ければ、現場は機能しなくなる。
   実際にどのような形で運用・管理されるのかを常に念頭に置く。  

5.Timed(時勢にかなっている)または Time-bound(期限付きである)
   社会の動きを知り、時流を読む。また、その先を読んでいく。
   そうすると自ずから特定の仕事の期限は決まってくる。
   学制の変更や学事の革新、新しい企画、新規プロジェクト。
   この項目だけは、学校の外を知らなければ考察できない。
   また、教育界の外にまで目を向けなければ正解は得られない。


これら5項目の頭文字を取って、「SMART」と呼んでいます。
活用の仕方としては、表を作ってしまうのが一番便利でしょう。
表の縦軸にこのSMARTを、横軸には5つの経営資源を配します。
5つの経営資源とは「ヒト・モノ・カネ・トキ・情報」のことです。

当たり前のことですが、表を作っただけでは中途半端です。
一定のPDCAサイクルでその中身を確認し続けていくのです。
学校にありがちな感覚的管理を避けるには、かなり有効だと思います。
大げさなマニュアルや、がんじがらめの管理基準も必要ありません。

一つだけ気をつけていただきたいのは、リーダーシップの発揮です。
この指標の活用には、前提としてメンバーへの共有目標の徹底が必要です。
トップマネジメントでも、ミドルマネジメントでも、それは言えます。
一方的に現場に押し付けても、要員の能力は発揮されません。
明確なビジョンを示し、実現可能であると思わせることが第一条件です。




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-023号- 20050418 「成果主義に見る失敗」
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【 学園改革を支援する『開窓』 -023-】2005年4月18日号

私立学校を取り巻く状況は、ますます厳しくなるばかり。
不況と少子化の波を、いかに乗り越えるかの試練です。
現存する学園経営の問題を、どのように克服していけばよいのか。
多くの学校のトップは、運営手法に不安を抱えています。
現場の声でトップを動かし、改革を推進するためのヒント集です。

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○○ 「成果主義に見る失敗」 ○○


前号では東京の桜が開花したことをお知らせしました。
あれから2週間、彼女たちもすでに葉桜になりつつあります。
あなたの勤務する学校でも、そろそろ新入生たちが芽を出す頃でしょうか。
好ましくない芽を出す子もいますが、真正面から取り組みたいものですね。

さて、先日、20年来の旧友と会う機会がありました。
彼もまた私と同様、東京のある私立学校に勤める教員です。
その彼が自慢げに、勤務先の報酬体系について語ってくれました。
何でも「成果報酬制度」を取り入れているのだとか。
おかげで若い教員たちが一所懸命に仕事をするようになったと言うのです。

ところが、「ベテランはどうなの?」という私の質問に彼の顔が曇ります。
「うーん。ベテラン勢は今ひとつ積極的に働かないんだよね・・・・」と。
私は「ああ、彼の学校も大きな勘違いをしているんだなあ」と感じました。
「成果報酬制度」が流行りだしたのは数年前のことです。
多くの民間企業が取り入れ、それを見習う私立学校が増えていきました。

人事制度に取り入れて給与体系の中に組み込まれた学校も多いことでしょう。
「成果報酬制度」そのものは、有効性の高い発想です。
人間は努力を正当に評価されれば、なお一層がんばる性質があります。
それなのになぜ、彼の学校のベテラン勢は積極性が出ないのでしょうか?

この数年、日本的な「年功序列制度」は罪悪であるかのように言われます。
「成果報酬制度」こそ、正当な人事評価の手法である、と。
しかし本当にそうだと言い切れるのでしょうか。
昨今の状況を見ると、ことはそれほど単純ではなさそうです。

私は彼に次の質問をしました。「君はなぜだと思うのか?」と。
彼の返事です。「きっとベテランは、若手が評価されるのがイヤなんだよ。」
私がその返事に苦笑したのは、言うまでもありませんね。
「成果報酬制度」で評価されている彼には、大事なことがわからないのです。

民間企業で多く取り入れられている経営手法は多くが外国のものです。
ほとんどがアメリカで提唱され、日本に輸入された経営手法です。
MBAを中心として、PMBOKやPMIなどなど・・・・。
「成果報酬制度」もそうした外来の発想の一つです。

原語を邦訳し使用するうちに、邦訳された語が独り歩きするのです。
特に漢字は、それ自体が表意文字であり、誤認を招きやすいのです。
文字の持つ意味が、その用語の作られた過程を忘れさせてしまうのです。
邦訳によって、不必要な意味を文字が発し始めることもあるのです。

そもそも「成果報酬制度」は、減点法として確立されたわけではありません。
しかし日本では、減点法の王道として、給与カットの材料にされています。
また、何をもって「成果」と見るのか、現場とのすり合わせも不十分です。
労使の双方が、同じ意識で「成果」を考えていないから問題が起こるのです。

若手教員は経験も技術も不十分で、何か一つ覚えれば周囲からもわかります。
しかしベテランは一通りの経験・知識・技術を備えています。
そのベテランによる若手教育、経験や知識による意見はどうでしょうか。
「できて当たり前」の人物が当たり前のことを言っても、評価されませんね。

私は彼にもう一つ質問しました。「ベテランの知識への対価は?」と。
彼からは回答がありませんでした。つまり配慮の対象外だったのです。
それではベテラン勢が積極性を維持することはできません。
せっかく若手を教育しても、「当たり前」と見られて流されてしまう。
せっかく意見を出しても、だれもその実力には気付かない。

これはコミュニケーションの不足を解消しなければ解決できません。
学校管理者とベテラン勢との対話は、意外なことに十分とは言えないのです。
どんなに優秀な手法を確立しても、意識の共有がなければ空回りします。
意識向上のために始まった「成果報酬制度」が逆の効果を生み出すのです。
こうして見ると、ある一つの疑問が生じてしまいます。
彼の学校の若手が一所懸命なのも、実は義務感だけなのではないか、と。

日本人の悪い癖で、手法に取り付かれると中身が見えなくなるのでしょう。
根拠もなく「この方法を取り入れたから完璧だ」と思い込んでしまうのです。
これは「成果報酬制度」に限らず、業務のあらゆる場面でも見られます。

最近の流行の中から一例を挙げてみましょうか。
「私のクラスはHRに100マス計算を取り入れました・・・・(笑顔)」
はたして、その目的と効能を、自分なりに考えているでしょうか。
運用法は?子供たちへのコンセンサスは?本当に十分なら良いのですが・・・・。
担任教諭が一人で喜んでいるだけかもしれませんよ。

何事も取り入れたり始めたりするからには、明確な目的が必要です。
また、途中で破綻しないように運用法を確立しなければなりません。
そうした手順を忘れ、安易に手法に飛びつく愚を、日本人は繰り返します。
大切なのは手法ではなく、それによって期待される効果です。
もちろんリスクをしっかりと予想する技術も確立しなければなりません。

ちなみに民間企業では昨年来、「成果主義」の見直しが始まっています。
ただし、問題解決ではなく問題逃避の傾向が強いようですね。
「うまくいかなかったから次の手法に切り替えようか」といった感じです。
いかに安直に「成果報酬制度」を取り入れたか、容易に想像できますね。

「目的と方針」はメルマガ17号で触れています。
http://kaisou.gozaru.jp/page004.html#lcn018

そもそも問題を解決するためには「課題化」の手順が必要です。
http://kaisou.gozaru.jp/page004.html#lcn017

民間企業の成功手法に見習う点が多いことは周知の事実です。
しかし、民間企業の失敗から何かを見習おうという姿勢を忘れていませんか?
企業であれ、学校であれ、組織を動かすのは人間です。
労使間の意識のすり合わせを忘れると、かえって大きな問題が発生します。
特に人間を人間が評価することは、極めて難しいものです。
それは生徒を評価する時のことを考えれば、わかるはずなのですが・・・・。

誤解しないでください。私は「成果報酬制度」は有効だと考えています。
しかしその取り入れ方や運用法について、慎重な考えを持っているのです。
実際にこの制度を取り入れる方法を、この数年、考え続けています。
限りなく慎重に。そして逆の効果も踏まえながら。
「成果報酬制度」については、次のサイトをご覧になることを勧めます。
http://www.keieiken.co.jp/events/index.html

「手法」以前に「目的」があり、「目的」以前に「問題」がある。
そのことだけは忘れないでいただきたいと思います。




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-026号-  「差別化の意義」
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【 学園改革を支援する『開窓』 -024-】2005年5月2日号

私立学校を取り巻く状況は、ますます厳しくなるばかり。
不況と少子化の波を、いかに乗り越えるかの試練です。
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○○ 「経営責任」 ○○


尼崎で発生した電車脱線転覆事故では多くの犠牲者が出ました。
この場を借りて、夢を絶たれた多くの方々のご冥福をお祈り申し上げます。
犠牲者のご遺族と、負傷された方々にも心からお見舞い申し上げます。

事故発生後のJR幹部の発言を聞いていると、なんだか釈然としません。
責任転嫁とも受け取れる内容が多く、真摯な対応には見えません。
昨年来の三菱自動車によるクレーム隠蔽事件を想起します。
どちらの企業も「人の命を預かる」重責を理解していないのでしょうか。

JR幹部たちは若い運転士の責任として、事件を風化させたいのでしょうか。
直接的な事故原因を作ったのは、確かに運転士だと言えると思います。
しかし彼がそのような行為に走ったのには、企業体質が強く影響しています。
私鉄との競合の中で、利益優先主義がJR西日本を支配していたのでは?
人材育成とは程遠い、「迫害」とも言える社員教育の実態も暴かれました。

池田小事件などを思えば、我々にとっても他人事とは言えませんね。
システムや慣習が、人間の価値をおとしめることがあってはなりません。
従業員であれ、顧客であれ、人の命や存在価値に差はないからです。
今回の鉄道事故は「他山の石」として多くの教訓を発していると思います。

学校内でもいろいろな問題が発生して、クレームが寄せられます。
直接的な原因は、特定の教員から引き起こされる場合が多いことでしょう。
しかし根本的な原因は、人材育成の不備やシステムへの依存にあるのです。
また、学校として「めざすもの」が曖昧だったり、マニュアル主義だったり。
ひどい場合には、経営責任を現場になすり付けて逃避する経営者もいます。

現場の人間を動かしているのは、管理者である経営トップです。
また経営トップの過ちは、現場の声で正していかなければなりません。
こうした仕組みを作れない組織は、いつか必ず大きな失敗を犯します。
鳥瞰的な視点を持たない現場、現場を知らない経営陣、どちらも不可です。
そのような組織では顧客の声を聞くどころか、その存在にさえ気付きません。

民間企業であれ学校であれ、お金を受け取る以上、そこに責任が生じます。
また、社会に対する存在責任も明らかにしなければなりません。
その責任は現場の従業員も経営トップも、等分に分担されてしかるべきです。
責任の取り方は違っても、顧客に対する責任には、違いなどないのです。
まして人の命を預かるとなれば、そうした次元での話ではありません。

一般に「経営責任」とは、トップが引き受けるもののように誤解されます。
しかし本来、組織の一員として、経営の責任は現場の一人一人も同じです。
コスト意識と当事者意識を持ち、コンプライアンスを重視すること。
組織人なら、最低でもこのくらいは実現したいものですね。
特に、組織の問題を発見する眼は、現場の方が確かなのではないでしょうか。

以前も書きましたが、組織として重要なのは次のような意識です。
なぜ組織が存在するのか。何をめざしていくのか。どのような方法か。
実現し、提供していくべきは何か。どうなれば責任が果たせないのか。
これらが明確にされない限り、組織は組織として認められないのです。

近頃、多くの学校や企業が「〜〜システムの構築」に懸命です。
その完成こそが、改革や改善活動のゴールであるかのように信じています。
しかし新しい「看板」や「システム」は、ゴールでも何でもありません。
その程度の仕事を「プロジェクト」などと呼んで満足してはいけません。
改革は、その改革が実現した瞬間から、すでに陳腐化の道を歩み始めます。
改善は、永久に、継続的に、着実に反復されるからこそ改善なのです。

こうした改革や改善活動は、最終的に「経営責任」を果たすためのものです。
利益追求に走って、生徒や保護者にその代償を払わせてはいけません。
理想の追究に走って、現実世界から逸脱した行為を要求してもいけません。
そのすべての責任が、組織のすべての要員にかかっているのです。

真剣に「経営責任」を考える時、社会や顧客の姿が見えているかが問題です。
経営トップに責任を預けてしまうような現場では、人材は育ちません。
現場に責任転嫁するような経営トップは、人の上に立つ資格さえありません。
誰でもが、常に組織の当事者として、責任の一端を担っているのです。
トップはただの代表です。現場の力が学校や企業の動きを変えるのです。

学校の教員は企業の社員より、むしろ意思決定の機会が多いはずです。
しかもその中で、子供たちの人生を左右してしまう影響力を有します。
生徒の前で、教員の責任に軽重があるとしたら、おかしな話ですよね。
若手だろうが中堅だろうが、もちろんベテランだって責任は等分です。
その一人一人の教員の責任の集合こそ、学校の「経営責任」なのです。

これも以前に書きましたが、近頃では保護者の対価意識が高まっています。
「支払ったお金に対して、どれだけの見返りが望めるのか?」
消費者としてはごく当たり前の感覚と言っても良いでしょう。
ただこの国では長い間、あえて触れずに禁忌とされてきただけの話です。
月謝の高い私学だからこそ、この問題は非常に重要な意味を持っています。

何の変哲もない日常でも、非常事態でも、責任から逃れることはできません。
リスクをしっかりと踏まえ、相当の覚悟を持って現場に臨むこと。
またそうした意識を、組織内のすべての要員が共有していること。
それに伴う人材(教員)育成に最大限の注意と努力を払うこと。
不十分な公立学校では「税金泥棒」の汚名を着せられてしまいます。
不十分な私立学校では「詐欺だ!」という怒りの声が寄せられます。

あなたの学校では、こうした事柄を話し合ったことがありますか?
教員の間でこうした意識が共有されているでしょうか?
一方的な抑圧を「管理」と勘違いしている教員や管理者はいませんか?
ただ言いなりになるだけの「勘違いの寛大さ」でごまかす人はいませんか?
私学の教員として、原点から考え直す時が来ているのではないでしょうか。
「システム」や「慣習」に身を預けることだけは、したくないものです。




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-025号- 20050516 「人間力」と言われても
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【 学園改革を支援する『開窓』 -025-】2005年5月16日号

私立学校を取り巻く状況は、ますます厳しくなるばかり。
不況と少子化の波を、いかに乗り越えるかの試練です。
現存する学園経営の問題を、どのように克服していけばよいのか。
多くの学校のトップは、運営手法に不安を抱えています。
現場の声でトップを動かし、改革を推進するためのヒント集です。

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○○ 「人間力」と言われても ○○


近頃、本やメルマガを読んでいて気になることがあります。
それは特に「リーダーシップ」に関連する文章で気付くものです。
表題にある通り、「人間力」という言葉が多用されているのです。
しかし、その定義は極めてあいまいで、具体性に欠けるものばかり。

この「人間力」という言葉は昨年あたりから目に付くようになりました。
その不明確な語義を探っていくと、ある疑念が湧いてくるのです。
この言葉を使っている本人にも、その意味が理解できていないのでは?と。
核心に近づくと、「人間力」という言葉で逃げているように見えるのです。

ほとんどの文章では次のような使われ方をしています。
「リーダーに必要なのは人間力だ。人を動かす力の源だ。」と。
あたかもこれが結論であるかのような言いぐさです。
しかしこれは、論点を抽象化して大げさに言い逃げしているだけなのでは?

私はいつも、こんな解釈で済むのでは、と思ってしまいます。
「コミュニケーション能力とその周辺のプラスαの能力」。
実際、ほとんどの文章がこの表現で済んでしまうものばかりです。
「人間力」とは、そのような浅い能力ではないと思うのです。

私の考える「人間力」とは、次のようなものです。
・失敗を重ねても、その中から次のステップへの布石を築ける能力
・問題を見つけ出し、その根本原因と具体的な解決法を見出す能力
・めざすべきゴールを、明確なビジョンのもとに熱く伝達する能力
・組織構造の功罪を熟知し、周囲のメンバーを理性的に動かす能力
・当事者意識をベースに、使命感に燃えて職務を遂行し続ける能力
・コミュニケーション能力以前に、高い視点と広い視野を有すること
・簡単に見捨てず、また擦り寄らず、公明正大な判断力を有すること
などなど、数え上げればキリがありませんが、これだけ広範だと思うのです。

実際の職員会議の様子を思い浮かべてみてください。
コミュニケーション能力の高い人物がリーダーに向いているのでしょうか?
中には「策士」と評される人もいるでしょう。
あるいは「軽佻浮薄」と評される人もいるかもしれません。
多くの文章が言う通りなら、こうなるように、私には思えるのです。

列記した能力の他に、「人間力」には次のようなバックボーンも必要です。
・経験豊かで、成功や失敗のデータベースを脳内に多く貯めていること
・他者の不安や不満、喜びや悲しみを受け入れ、共感できること
・自分なりの手法に一定の自信を持ちながら、日々、反省を忘れないこと
・「気付き」を得たら、自分の手法に取り入れ、改善する素直さ
・自分自身の不得手を知っており、貪欲な学習意欲を維持し続けること

人間は、苦手分野や失敗したことから逃げたくなる衝動が自然に起きます。
そこで一歩踏みとどまり、自分に足りないものは何か、と考えるべきです。
また、表面的な同調や同意、譲歩などは後々の結果を悪くするだけです。
もちろん、反対のための反対、自己顕示のための主張は論外ですね。

なぜ、誰のために、どのような方法で、何を実現すべきなのか。
その基本を理解している人こそ「人間力」を発揮できる人だと思います。
そのためには叱るべき時は叱る。褒めるべき時は褒める。
言うべき時に言い、黙るべき時に黙る。動くべき時には迷わず動く。
そう、言うなれば「当たり前のことをいかに当たり前に実践するか」です。

生徒を指導する時には、たいていの教員がこうしたことを実践しています。
ところが、組織内(教員同士)での活動となると、道を外す人が現れます。
それは甘えや嫉妬、横着、焦燥から生み出される「マイナスの人間力」です。
「当たり前のことをいかに当たり前に実践するか」。
その実現のために必要な「人間力」、なかなか定義の難しい言葉です。

皆さんも「リーダーシップ」関連の本をお読みになっていることでしょう。
言葉の魔力に惑わされてはいけません。特に、抽象的な表現にはご注意を。
筆者が結論を定義できずに、大きな表現で感覚的にわかった気にさせる。
実際に現場でどう駆使すればよいのか。それが見えなければ無意味です。
文章というものは、そうした「まやかし」も生み出すことができるのです。




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-026号- 20050530 「差別化」の意義
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【 学園改革を支援する『開窓』 -026-】2005年5月30日号

私立学校を取り巻く状況は、ますます厳しくなるばかり。
不況と少子化の波を、いかに乗り越えるかの試練です。
現存する学園経営の問題を、どのように克服していけばよいのか。
多くの学校のトップは、運営手法に不安を抱えています。
現場の声でトップを動かし、改革を推進するためのヒント集です。

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○○ 「差別化」の意義 ○○


「この頃、私学で流行るもの。右へ倣えの共学化。ネコも杓子も中高一貫」


ある私塾の先生からいただいたお手紙の中に、こんな狂歌がありました。
公立校との差別化を図り、私学各校はそれぞれの特色を構築してきました。
公立は私学との差別化を図り、さまざまなタイプの学校を新設しています。
ところが、フタを開けてみると、どれもこれも共学化と中高一貫。
なるほど。あの狂歌もあながち嫌味とは言い切れないようです。

「差別化」が叫ばれて久しくなりますが、結果は横並びのものばかり。
建学の精神を時代に合わせて運用させる。これは良いと思います。
しかし、建学の精神を忘却のかなたへ押し遣るのは、いかがなものか。
私学には私学なりの設立の経緯があり、精神を引き継ぐ卒業生がいます。
とは言え、公共企業でもない私学には、経営継続の責任ものしかかります。

他人様のことを言えた義理ではありませんが、私学の特色が見えにくい。
「差別化」という言い訳のもと、実は横並びの画一化が進んでいます。
私の勤務先も、ある場面では他校に追随するだけの姿勢が見えるのです。
経営陣は「差別化」と謳っていますが、私からすれば「猿真似」です。
「本当の差別化って何だろう?」私の素朴な疑問です。

「差別化」と言えば、思い浮かぶのは「コア・コンピタンス」ですね。
中核となる強み。それは各学校によって様々なはず。
しかし実態は違います。多くの私立学校で独自性が弱まっています。
あなたの学校ではいかがでしょうか。私はとても心配です。

多くの私立学校では、「差別化」を言い訳に、右へ倣えの姿勢です。
そんなことで保護者の目を引くことができると思ったら大間違い。
保護者は常に学校の動向を注視しています。他校の動きにも敏感です。
表面だけの「変革ごっこ」では通用しないはずですよね。
経営陣がそのあたりの現実を理解しているかどうか。重要なことです。

そもそも「差別化」とは、どのような概念なのでしょうか。
私立学校では次のような項目が重視されているようです。
学事の品質。ブランド性(ネームバリュー)。無料のサービス。付加価値。
他にも、部活動や特定の教員、進路状況や制服。思えばキリがありません。

先般、このメルマガで保護者層の「消費者意識」をお話ししましたね。
「高いお金を払っているのに!」という苦情が出たりしませんか?
保護者は「消費者」として、支払った額以上の仕事を我々に求めます。
「コスト・フォー・ヴァリュー(対価性)」が問題になっているのです。
その要となるのは良い意味での「他校との違い」です。
それはいわば「独自性」そのものと言っても過言ではないでしょう。

何か一つに突出しているよりも、バランスよく子供を育てて欲しい。
人の親として、保護者にしてみれば当然の、正しい発想だと思います。
しかし、生徒の立場としてはある突出した部分を学校に求めがちです。
部活動であったり、学習活動であったり、という具合です。
総合バランスを保ちつつ、ある一面で独自性を持たなければなりません。

その独自性のうち、学校全体として得意であるもの、方針の中心にあるもの。
これが学校のブランド性(ネームヴァリュー)として認知されるのです。
ただし、私は「総合バランスを保ちつつ」と書きました。
学校の仕事は突出した、ある一つの分野だけでは済まないからです。
バランスの取れた基盤の上に、ブランド性を高める柱を建てるのです。

学事の品質を高めるのは、総合バランスが取れた上でのお話です。
瑕疵のない基盤を築き、安定させ、その上で「差別化」を図る。
ある突出したものだけを選択し、集中投資するのが「差別化」の基本ですが、
砂のように流動的な基盤の上には、何も建てることはできません。
まずは「学校」本来の、バランスの取れた安定基盤を構築しましょう。

さて「差別化」と言えば、次の3つの方法があるようです。
1.施設や物量、教材教具による差別化。すなわち物理的なもの。
2.ブランド戦略やネーミング、広報活動によるイメージ的なもの。
3.情報公開と提供、個別フォローに重点を置くサービス的なもの。
いずれにしても、模倣されにくい方法を考えることが基本となります。

「差別化」しようとしてある方法を導入したが、実は他校と同じだった。
このような失敗は、上層部の情報収集や方針策定の甘さに起因します。
そうした学校の多くは、現場の教員にも「当事者意識」が欠落しています。
学校経営は上層部だけの仕事ではありません。関係者全員の仕事なのです。
現場からの声がなければ、上層部だけで判断しきれない問題が出るのです。

情報を現場と上層部が共有し、ともに明日の学校のあり方を模索する。
問題を敏感に察知し、対処法を考察し、方針を策定するための基本です。
報告と連絡と相談、俗に「報連相」と呼ばれる作業が重要なのです。
しかもその多くが、保護者からのクレームで始まることが多いものです。
マイナス材料が出たら学校変革のチャンスとも言えるのです。

数年後の学校のあり方を、ビジョンとして現場に共有させましょう。
現場で発生する問題を、隠さず上層部にアップしましょう。
緻密な報連相を実践して、基盤固めに努めましょう。
学事のバランスを重視し、あらゆる生徒と保護者の期待に応えましょう。
こうした基本が定着していないと、「差別化」は「我がまま」で終わります。
「差別化」は賭けではありません。「ブランド性の創出」と心がけましょう。



※都合により、発送が半日遅くなってしまいました。お詫びいたします。



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-027号- 20050613 「ブランド性」の源泉
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【 学園改革を支援する『開窓』 -027-】2005年6月13日号

私立学校を取り巻く状況は、ますます厳しくなるばかり。
不況と少子化の波を、いかに乗り越えるかの試練です。
現存する学園経営の問題を、どのように克服していけばよいのか。
多くの学校のトップは、運営手法に不安を抱えています。
現場の声でトップを動かし、改革を推進するためのヒント集です。

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○○ 「ブランド性」の源泉 ○○


前号の発行後、読者の方から「難しすぎる」とのお声を頂戴しました。
自己流のメルマガ、こうした感想をいただけますと大変助かります。
学校改革の根幹に関わる重要な内容で、勢い複雑思考になったようです。
そこで今回は、前号の補足となるよう書かせていただきました。


公立私立ともに、学校改革が全国で進んでいます。
残念ながらその中には、体裁だけや見せ掛けだけのものも現実にあります。
それでも政府・行政を巻き込んで、さらに大変化が続くでしょう。
文部科学省では二の矢・三の矢と、なお秘策を練っている最中です。
「ゆとり」転換など、ほんの序章に過ぎません(詳細は日を改めて)。

ところで、子供たちを主体とした学校改革はなかなか発見できませんね。
「ゆとり教育」が「ゆるみ教育」になった例がありました。
安易な中高一貫化も、決してないとは言い切れません。
「特色作り」が「CS」だと勘違いしている行政もあります。
生徒の視点に立たない改革は、ただの「思い込み」や「自己欺瞞」です。

世の学校改革に、子供たちの声がなかなか聞こえてこない。
「ゆとり教育」の実施以来、そんなことを考え続けています。
子供たちに益するところは何か。何を提供すべきなのか。
そのことを抜きにして真の学校改革とは言えません。
形式的に民間企業の手法を取り入れただけでも、自己満足で終わります。

私の勤務する学校でも、当然のように変革は進んでいます。
それにはまず生徒の声を聞くこと。そのことに心を砕いています。
子供たちとの距離をさらに縮め、彼らのあらゆる不安を解消したい。
どの教員もそうした気持ちで毎朝、教室に向かっています。
あなたの学校ではいかがでしょうか。改革に生徒の声は聞こえますか。


世の学校改革がめざすもの。それは学校の「独自性」(前号参照)。
いわば、学校としての「ブランド性」をいかにして高めるかということです。
では、その「ブランド性」の源泉は、学校のどこにあるのでしょうか。
「ブランド性」は提供するものではなく、認知されるものであるべきです。
一方的に提供しようとしても、受容されなければ「ブランド」たり得ません。

学校の施設なのか、カリキュラムなのか、それとも進学実績なのか。
今まで長い間、学校の「ブランド性」はこうした材料にありました。
確かにどれも学校の独自性を体現していると言って良いと思います。
しかし、この数年で社会の評価が変化してきたと私は考えます。

ある時期、生徒の「個性」が尊重されたことがありました。
結果的には表層的な教育界の対応が世間から非難されました。
学校側に生徒の「画一化」「標準化」を重視する姿勢が残っていたためです。
当然ですね。社会性を重視すれば、突出型人間には育てられません。
ところが昨今、その社会が大きく変わってしまったのです。

その時期に尊重された「個性」は、実は「個人」そのものでした。
それが現在では「個人としての存在力」に変化しているのです。
経済界の動向を見ればわかる通り、突出した要素が求められるのです。
つまり「なぜ、その人が必要なのか?」という評価に直結しているのです。
したがって、これまでの学校の教育では太刀打ちできなくなっているのです。

その事実を踏まえて学校改革を考える時、「ブランド性」の源泉は何か。
あなたなら、もうお分かりですね。その通り、解答は「教員」です。
学校のブランド性は、生徒と教員とのコラボレーションで実現します。
教員に多様なスキルが備わっていなければ、とうてい無理な話です。
すなわち教員の「個人としての存在力」が問われ始めているのです。

学校からも生徒からも必要とされる教員。
「なぜ、その人が必要なのか?」
あなた自身はいかがでしょうか。
ご同僚の方々はいかがでしょうか。
その理由が見つからない人物は、「ブランド性」の源泉にはなれません。

間違えないで下さい。「ブランド性」の材料ならいくらでも用意できます。
私が言っているのは「材料」ではなく「源泉」です。
どんなに貴重な食材がそろっても、料理人がダメなら結果は台無しです。
100人の客がいれば、その100人全ての好みに合う料理を作れること。
学校のCSは、そんな様子と似ているのかも知れません。

教員はどんな問題にも対応できるゼネラリストであるべきです。
その上で突出したスキルを持ち合わせたスペシャリストでもあるべきです。
教員の「ブランド性」の集合は、学校の「ブランド性」を制約します。
どんなに声高にトップが改革を叫んでも、この事実は変わりません。
ただし、人材育成によってこの難問を克服した学校は少なくありません。

私は、学校の「ブランド性」を測る物差しは「対応力」だと考えます。
いわゆる処理能力としての意味ではありません。
「これこれこういう分野なら、あの学校の得意分野だ。」
そんな評価を受けることが、すなわち学校の「ブランド性」だと思うのです。
そのことを踏まえて教員を採用する。または人材育成に努める。
学校側に必要なのは、そうした意識と手配りではないでしょうか。




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-028号- 20050627 意識していますか?「人材育成」
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【 学園改革を支援する『開窓』 -028-】2005年6月27日号

おかげ様で1周年!これからもよろしくお願いいたします。
学園経営と学校改革をお手伝いするメールマガジンです。
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改革をゴールにせず、スタートにしなければ意味がありません。
あなたが、そのプロセスを実現するのです!

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○○ 意識していますか?「人材育成」 ○○


東京はカラ梅雨で、日増しに暑さが厳しくなっています。
あなたの街はいかがでしょうか。夏バテ、来ていませんか?
しっかり3食とって、睡眠を大切に。無理は禁物ですよ。
もっとも、人様に忠告できる生活ではありませんけどね。

おかげ様でこのメールマガジンも1周年を迎えることができました。
これまで支えてくださった読者の皆様に、心から感謝いたします。
その記念に6月末まで、期間限定で支援ツールを無料で提供します。
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もちろん読者の方だけの限定サービスです。詳細は後ほど!



さて、今月はあなたの学校でも教育実習があったことと思います。
私の勤務校にも数名の実習生がやって来ました。みな本校の卒業生です。
自分のことを振り返ると、彼らの期待と緊張はよく理解できますよね。
ガチガチの第1週に始まり、打ち解けた第3週まで、あっという間でした。

私も一人の実習生の指導教官を仰せつかりました。
教育実習をただの「授業実習」にしないよう、最大限の注意を払いました。
最後のHRで見せた彼の涙は、まことに尊いものであったと思います。
思えば私は、あの時代の緊張と不安を忘れかけていたかもしれません。
「初心忘れるべからず」、わかっていても難しいことですね。

教育実習生を見るたびに考えることがあります。
「この実習生も、いずれ馴れ合いの深みにはまらないだろうか。」
現場の教員たちを見ていると、そんな不安が私を襲うのです。
新任当初の緊張や意気込みを忘れた教員の、何と多いことか!
毎日をただ気分で流すだけの教員も、数名はいますよね。

与えられた学校業務を、ただ単純に事務的にこなすだけの教員。
情熱を誤った方向に注ぎ込み、生徒の迷惑を顧みない教員。
得意分野に逃げ込んで、欺瞞と逃避の毎日を過ごす教員。
形ばかりの愛情をひけらかし、生徒に媚びを売って平穏を装う教員。
そんな教員たちに共通するのは、「脳内に生徒がいない」こと。
これでは教員だけでなく、学校そのものが信頼を失ってしまいます。

教育実習に限らず、若手教員の育成を真剣に考えていらっしゃいますか?
われわれ教員の最大の弱点は、外の世界を知らないことでしょう。
いや、教育界の動向さえ、把握していない教員もいるかもしれませんね。
知財を提供する学校の教員が、知財に無頓着なのは不思議なことですね。
本来なら、私学の教員として、自身をブランド化する努力が必要です。

とは言え、それもなかなか難しいことであるのは承知しています。
そういう前向きな教員には、いろんな仕事が集中しますから。
自己研鑽の時間を奪われやすい状態になるのは当然のことでしょう。
上層部や先輩教員がフォローして、その機会と時間を作ってあげましょう。
研修でもセミナーでも、有望だと思うなら積極的に参加させましょう。
また、有益な書籍を勧めるくらいなら、誰でもできると思うのですが。

有能な若手を育てるには、こちらにも忍耐と努力が求められます。
実力は認めても、組織のルールには従わせなければなりません。
どんなに勉強をしたとしても、受け売りの発言や仕事は却下します。
独断専行に走る恐れのあるときは、厳重に処断しなければなりません。
判断基準はただ一つ。「本当に生徒のためになるかならないか。」
どんなに優秀な意見であっても、この基本だけは厳守させるのです。

「君ならできる。思い切ってやってみろ!」
「君自身がどう考えるかが重要だ。」
「生徒の声をよく聞いて、先生なりの判断を。」
「あなたは有望な人物だ。もっと能力を磨きなさい。」
どれもよく聞くセリフですが、これではただの無責任上司です。

「こんなこともわからないの? 他の先生はできてるよ。」
「君の発想は生徒のためにならないね。教員辞めたら?」
「わざわざ苦労してこの仕事をやっている意味がないね。」
「私だったら、あなたのクラスにはなりたくないな。」
「君は能力が高いんだから、自分で解決すればいいじゃない。」
お分かりだと思いますが、これらは世間で言うイジメです。

生徒たちを教育するのと同じことで、教員育成にもメリハリが必要です。
信じ、預け、行動で示させる。上司にはそんな覚悟が必要です。
疑い、叱り、反省を強制する場面も、時には必要になります。
生徒を愛するのと同じように、若手を愛してやってください。
あなたと同じ職に就き、あなたの後を追いかける人たちです。
彼らを育成することは、とりもなおさず、生徒を育てることに繋がります。

若い教員たちは強力なエネルギーと情熱を持っていることでしょう。
しかし物理的に、あなたの経験には永久に追いつかないのです。
教員として繰り返した失敗の中から、あなたが構築し続けたもの。
その経験は人間的な深み、太さ、厚さとして、あなた自身を変えて来ました。
若い彼らはどんなに足掻いても、あなたのその経験は超えられないのです。
だからこそ根気良く丁寧に、彼らの仕事の是非を判断して欲しいのです。

人が人を育てることの難しさ、日常業務の中ですでにご承知でしょう。
生徒と教員という立場の違いはあれ、人は人ゆえに未成熟なのです。
彼らの立つ位置は、あなたも通過してきた位置です。
その頃の自分に戻ったつもりで、若い彼らに道標を示してあげましょう。
生徒指導と同じこと。人材育成の基本は、相手の立場になりきることです。
生徒たちを、学校を、そして私学界を。いずれ委ねる教員たちですからね。



駄文を最後までお読みいただき、ありがとうございました。
先ほどお約束の「支援ツール」についてのお知らせです。
事業計画を策定するためのフローチャートで構成されたこのツール。
創刊1周年の感謝を込めて、読者の方だけに無料で進呈します。
ただし、このサービスは6月末までとさせていただきます。
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